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あなたのことを知りたい
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「お前とシェールとか友達とか、
なるつもりないから。」
表情ひとつ崩さず、ばっさりそう言い切られた。
シュンが立ち去った後に、
小さく溜め息をつくルイ
「はぁ…ほんとエリックってバカ…でも…」
言葉を濁してシュンが行った所を見るルイ。
「聞いてた話と違う。難しいなぁ…」
シュンのことは
『天才ショコラティエ』なんて呼ばれる
ずっとずっと前から知ってる。
だから、シュンがフランス本校に
来ると聞いたとき、すごく嬉しかった
どんな子なんだろう?
どんなチョコレートを作るのだろう?
…どんな風に笑う子なんだろう?
単純に、本当に単純に
シュンと友達になりたかっただけ
「…シュンは…綺麗だよね。」
「そうなんだよ!でも本人はまったく無自覚で。」
「それは…随分タチが悪いねぇ」
フフ、っと思い出したように笑うルイ
そして、スケッチブックを軽く抱き締めた
「…シュンを、はじめに見たとき、
本当に、美しいなって思った。
細くて白くて…簡単に壊れちゃいそうな
飴細工みたいで」
「ふぅん…?でも、シュン、僕と話すときは
普通にいい子だなって思ったけど、
エリックにはちょっと素直じゃなかったねぇ?」
確かに…
ますます、わからなくなってきた
シェールになりたかったのは…
シュンのことをもっと知りたくて、
シュンの作るものを1番近くで見たかったから
「…エリック…シュンは何か事情が
あるのかもよ?もう一度話してみたら?」
そう言うとルイはスッとスケッチブックを
差し出してきた。
「これは?」
「お姫様の忘れ物。」
俺に手渡すと、何事もなかったように
小さく欠伸をし、伸びをするルイ
「…そうだね、今日学校が終わったら
また話してみるよ」
それがいいよ、とでも言うように小さく笑う友人
「綺麗なんだよな…」
ポツリと呟いた思いは
少し高い空に消えていった
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