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叶わない
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今日は金曜日、コンクールの結果発表の日だ。
結果はお昼に校内掲示板で発表されるから、
一緒に見に行こうと、2年フロアにシュンを
誘いに行ったけれど、シュンはいなかった。
「おはよう、ルイ。
シュンは?見かけないけど…」
廊下を歩いていたルイに訪ねると、
ルイは首を横に振りながら
申し訳ないなさそうに言った。
「実は僕も朝から見てなくて…」
「そっか、ありがとう」
どこに行ったんだろう。
シュンに最初に必ず「おはようお姫様」って
言うと「うざ。」っと返ってくる。
それがもう習慣になっていたから、
校舎に来たらシュンに会わないと
ソワソワしてしまう。
どこに行ったんだろう…
結局、午前中はシュンに
会うことがなかった。
お昼になり、シュンを探しに行っても、
どこにもシュンはいなかった。
早くシュンに会いたい
この1ヶ月で、俺の中でシュンが
いるのが当たり前になっていた
今ではシュンがいないと変なことに
巻き込まれていたらどうしようと
心配になる今日この頃だ。
「シュン…」
「なに。」
「!?」
いつのまにか横にはあんなに探したシュンがいた。
シュンはいつもと変わらず深いワイン色の
カーディガンと指定スラックス、ネクタイ
という少し崩した装いだった。
「シュン!」
安心して抱きつくと、「離れろ!」と
もがくシュン。今日はダメな日みたい。
たまに、ごくたまに、抱きついても
離れない可愛いシュンがいるのは
俺だけが知っている秘密。
「どこで何してたの?」
「はぁ…?別にお前に関係な…「シュン?」
ニコッと少し威圧的に微笑むと、
シュンは怒られたら猫みたいにビクッ!となった。
「本を借りに色んな先生の所
回ってたけど…フランス語で…遅くなった。」
確かに、シュンの手には分厚い本や
たくさんのレシピがあった。
そしてどれもチョコレートばかりだった。
「そっか…よかった、なにもなくて。」
シュンはあからさまに顔に「何が?」
という言葉が出ていた。
どれだけ俺が心配したかのなんて、
チョコレートのことしか頭にない
シュンは考えもしないだろうからね
「そうだ、コンクールの結果を
一緒に見に行こうと思って…」
「必要ない」
俺の言葉に被せるようにピシャリと
言ったシュン。驚いてシュンを見ると、
シュンは俺の胸を人差し指でトンッと押してきた。
「見るまでもなく、1位通過だろ?」
ニヤッと悪戯っ子のように微笑むシュン。
あぁ、ほんと
叶わないなぁ…
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