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恋とか恋愛?ナンセンス!
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「シュンかわいいんだ。」
「お、おう」
「だから、キスしちゃった」
オレの小さい頃からの幼なじみが
ポツリと呟く。紳士だと思っていたけれど、
とんでもないやつだったよね、うん。
「わお。素晴らしいね」
冗談で言ったつもりなのに、
オレとエリックの間に流れる雰囲気は
相変わらず真面目なものなんだよ。
ほーんと困っちゃう
「ゼン、俺変なのかな」
「んー?なにがだい?」
気づいているけど、わざと気づかないフリをする。
「俺はシュンを、シュン自身を好きなのかな?
それともショコラティエとしての
シュンが好きなのかな?キス、したのは俺が
欲求不満なだけなの?それに、男同士だ。
この感情は単純に友達として好きなのかな?
それとも恋愛感情なのかな?」
「それは…「間違ってはいけない
感情なんだゼン。もし1つでも間違ったら
シュンを傷つけることになる。
ねぇゼン、教えてよ」
切羽詰まった様子のエリック。
そう考える理由がある。それを思うと、
少し胸が痛い。それにいつになく
真剣な幼なじみは昼の太陽のように
生きる男なのに今日はその後ろの月が
異様に似合っていた。
少し考え込むと、オレはニッと口許に笑みを
浮かべながら一つの質問をエリックに投げ掛ける
「秀才クン、お前あの子のどこが好きなの?」
「え?そうだな…まず、チョコレートを
作っている時の横顔かな。とても綺麗だと思う。
それと、たまに見せる笑顔はすごく可愛いし、
ポーカーフェイスを気取ってるけど、
その表情を崩した時とか、最高だよ。
それから…本当は、
すごく優しい人なとこ、「オーケーわかった。」
ペラペラと喋るエリックに人差し指で
もう喋らないように制する。
この男は危なくしたら一晩中
喋ることができるだろうね。
「わかったわかった。じゃあエリック、
君に問おう。
あの子のことをいつ考えてる?」
「え…気がついたら、
いつもシュンのこと考えてるかな…?」
「それだ」と言い、俺はパチンッと指を鳴らす。
エリックはパチクリと瞬きをした。
「いいか秀才クン、「恋愛」とか「恋」とかで
付けられる関係なんてナンセンス。
そんなものちっともおもしろくない」
「う~ん…、わかりやすく教えてよゼン」
「つまりだな、
相手のことを1分1秒でも考えたら
それは【愛】だ。自分の中に相手がいることを
許した。それこそが愛だ。」
「愛?」
「秀才クン、その頭で考えてよ。男同士だろうが
なんだろうがどーでもいい。
そんな常識にとらわれるなんてナンセンス。
大切なのは、君があの子にとって、
どんな存在になりたいか。それが肝心だ。」
「どんな存在になりたいか…?」
まだよくわかっていない様子の
秀才クンにニコッと微笑む。
「まだオレ達は若い。いくら間違ってもいい。
時には傷つけてしまうかもしれない。
それでも、ずっと思い続けることが
大切なんじゃないの?」
「ゼン…」
ソレイユ寮の前につく。立ち止まる王子サマの
肩をポンッと叩くと扉を開ける。
「お前が悩むなんてナンセンス。
王子さま、突き進めよ。
いつもお前ならそうするだろ?」
ハッとしたように顔を上げるエリック。
お前がそこまで慎重になるなんて珍しいよ。
あんなに勇ましく、自分のやりたいことを
求めていた6年前のお前がウソみたいだ。
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