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隣を歩く
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ルイに言われた通り、
ノイシュヴァンシュタイン城のチケットを
受け取り、早くシュンの所に戻らなきゃと急ぐ。
10m先くらいに3人くらいの男が輪に
なっていたのが見えて、なんだか悪い予感がした。
足を早めると案の定、
シュンが3人の男に絡まれていた
「いいじゃん、行こーぜ?」
「触ん、なッ!」
ガシッッッ
汚い手でシュンに触るな
シュンの腕を引っ張る男の腕を掴む
「い"っ!?」
「ねぇ、…」
男が小さく呻くき、シュンを掴んでいた
男の腕が離れる。男の手は俺にギシギシと
持ち上げられていた
「俺のシュンに何してんの? 」
「エリック…!」
シュンの顔を見て、安心した顔が
緩みそうになるのを無理矢理引き締める
無意識に手に力が入ってたらしく、
掴んでいた男が痛そうに呻く
「いてててててて!お、おい!!は、離せ!」
キッと睨むと、男は「ヒッ」と短く息を飲んだ
「…5秒以内に消えてね?」
パッと男の腕を離す
「5.4.3.2…」
「まずいって!」
「ひ、ひぃぃぃ!」
口々に何か言いながら男達は
人混みの中に走っていった。
クルッとシュンに向き直り、
シュンの細い両肩をガシッと掴む
「このっ…バカ!」
怒りの余り語彙力がなくなる。
シュンはそんな俺に驚いて何も言わずに
目を見開いていた
安心感とイライラが混ざって、
俺の思いが勝手に口をついて出てくる
「だから、連絡いれろって言ったよね?
何かあってからじゃ遅いんだよ⁉」
「くそッ…もう!こんなことなら一緒に
いればよかった…シュンもシュンだからね!?」
「シュン聞いてんの⁉」
シュンの顔は何故か笑いを堪えている顔だった。
一気に言ったから、息を整える
「エリック」
「なに…」
シュンは「お前怒るとそんな言葉
遣いするんだな」と言ってクスクスと
可笑しそうに笑った
怒っていたはずなのに不覚にも
笑う姿が可愛いと思ってしまう
「本当に心配した。
シュンに何かあったらって思うと……」
そういえば、こんなことがシュンと
始めてあった時くらいにあった気がする。
その時からだ。
シュンのことを絶対に守らなきゃって思った
シュンは、少し考え込むように目を伏せた後、
表情1つ変えずに言った。
「でも、何かあっても
お前が助けに来てくれるんだろ?」
思いもしなかった言葉を言われて、
驚いてシュンを見る。
「あたり前だよ…」
信頼、されてるって思って良いのかな。
シュンにそう言ってもらえただけで
心の中が洗われていくようだった。
「もう少し気を付ける…
それと、ありがとう…お前が来てくれてよかった」
シュンは恥ずかしそうに
小さく微笑みながら、そう言った。
久しぶりのシュンのデレが
可愛すぎてさっきまでの怒りは全部吹っ飛んだ。
思わず考えもしないで気持ちが口に出てしまう
「シュン…キスしていい?」
「は?雪の中に埋めてやろうか?」
うん、そうだよね。そうなるよね。
まさかの秒でいつものクールでツンツンなシュンに戻ってしまった。こっちもこっちで可愛くて好きだけどね。
そしていいタイミングで帰ってくるルイとゼン
ルイが、貰ってきた地図を広げ
3人が雪道を歩き出す背中を見守る
ドンドン歩いていく3人
それは、もしかしたら
これからの未来なのかもしれない
俺は、彼らと一緒に歩けないかもしれない
電車の中の電話の相手。
その事について話さなきゃいけない。
そしたら、もう………
いつのまにか下を向いてたらしい。足音がして、顔を上げると、2人と一緒に歩いていたはずのシュンが、目の前にいた。
「何してんだよ…行くぞ」
グイッとシュンに腕を引っ張られる。
その手は今の俺には暖かくて優しすぎた
暗闇にいた俺を、シュンが連れ出してくれた
それは今も、昔もそうだってこと、
シュンは知らないんだろうな
ねぇ、俺
シュンの隣を歩いてもいいかな?
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