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ダンスホールの天窓からの光
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外の景観でわかった通り、
ノイシュヴァン城の中は絢爛豪華な調度品
ばかりでとても綺麗だった。
その城内をシュンのペースに合わせて
ゆっくり一部屋ずつ回っていった。
一番綺麗だと思ったのは円形のドームに
吹き抜けの天井があるダンスホールだった。
その天井には大きな天窓があり
そこから綺麗な青空が見えた。
最後の部屋であるダンスホールに入ると
それまでずっと黙っていたシュンが2時間ぶり
くらいに声を出した
「あの天窓、夜だったら星が綺麗に見えるんだろうな」
「そうだね。舞踏会の夜とかは綺麗だろね。」
そう俺が言うとシュンは、「あぁ…」とだけ言って、また考え込む仕草をした。
今度はどんなアイディアが浮かんできたんだろう。なんにせよ、俺はシュンの隣で
静かに待ってるけどね。
「…どんな気持ちなんだろうな」
「え?」
短くそれだけ言うとシュンはスッと
ダンスホールの真ん中に何重にも円
が描かれている大理石の上に
俺に背を向けて立った
「何十人も着飾った奴らの中で
唯一自分だけを見つけてもらえた時の
シンデレラの気持ち。」
そうクルリと振り返ったシュンは
丁度天窓から暖かい日差しが入ってきて
キラキラと輝いてみえた。
「多分…」
同じようにシュンの所に行き、
シュンの手を取った。
「幸せだったんじゃないかな。
シュンが、俺を選んでくれたみたいに。」
一瞬驚いたように目を見開いたシュン
でもシュンは俺以上に優秀なパティシエが何十、
何百といる中から、俺を見つけてくれた。
きっと、ここにたったプリンセスも
同じ気持ちのはず。
王子さまが自分を見つめ、手を取ったくれた。
自分は、世界一幸せだと、思ったんだろうな。
重なった手を、キュッと優しく握ると、
弱々しくもちゃんと握り返してくれたシュン。
その反応が可愛くて、その手の甲にキスをする
「人来たらどうすんだよ…」
「別にいいよ。それより、
ここに立ったお姫様の気持ちになれた?」
俺がそう言うとシュンはフッと、
綺麗に微笑みながら「ばかじゃねーの」と
小さく呟いた。
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