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イギリス貴族、だな。
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ロンドンから郊外のエリックの家まで2時間弱。
ロンドン郊外は童話の世界を思い浮かばせる、
可愛らしい風景が広がっていた。
車に乗る前、エリックが俺を爺さんの
召使い紹介したときにその人の顔がひきつっていた。
エリックに小声で「ごめんね、血筋が第一
だと思ってるから…気を悪くしないで? 」
と耳打ちされた。
別に気なんか悪くならないけれど…
一種の文化の違いなんだろうな。
「あぁ、あと…」
「今、母さん体調を崩していて…」
前から軽く聞いてはいたけど、エリックの
お母さんはフランスの人。(ちなみに、
ルイのお母さんとは姉妹でお姉さんに当たる。)
「すごく優しいけれど怒ると怖い。」
そう言っていたエリックの顔はどこか幼く見えた。
暫くして車はかなり大きな屋敷の前に止まった。
「貴族の家なら、まぁ、立派なんだろうな。」
なんて軽く考えていた俺。
エリックの実家は俺の予想を遥かに超えていた。
「中で旦那様がお待ちしております。」
車のドアを開けた召し使いに
「わかった」と短く告げると、エリックは
先に車を降り、俺に片手を差し出した
そうだ、ここからはルイに教えて貰った
『マナー』を守らなきゃいけない。
「女性らしく柔らかい身のこなしが大切だよぉ
シュン。そのためにはねぇ…【指先】が1
番大切なんだぁ」
ルイの言葉通り、スッとエリックの片手を取り。
体を反転させ、足から車をゆっくり降りる
その動作に少し驚いたように目を見開き、
嬉しそうに軽く微笑んだエリック
内心ドヤ顔をしながらエリックから
半歩下がって歩き、大きな扉を開き
屋敷の中に入る。
中には中性の貴族を思わせる豪華でどこか威厳の
ある家だった。召し使いに連れられ、
俺とエリックは【drawing room】と
書かれた高そうな扉の前に立った。
「お前の家…やばいな。」
「はは…今俺がやばいかも」
エリックがこうなるくらいだからお父さんは
本当に厳しい人なんだろうな。俺は自然と
厳つい髭のthe貴族を想像する。
短く溜め息まで突き出したエリックに
エリックの背中をバシッと叩く。
「シャンとしろ」
叩かれたせいかピシッと背筋を伸ばした
エリックは、目だけ俺を見て、「ありがとう」と
微笑んだ後、控えめに扉をノックした。
コンコン
「失礼します…エリックです。」
ガチャリと扉を開いたエリックの横顔は、
さっきよりは和らいでいたから、
少しだけ安心した。
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