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百合の香り
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高そうな赤の絨毯が敷かれた部屋の
真ん中の豪華な革張りのソファー。
そこに堂々と座るら焦げ茶色の髪に
鋭い赤い目を持つ人物が俺達を見ていた。
この人が…エリックの親父さん。
その人は厳しい目をエリックから
外すことがなかった。
つまり、俺のことは一切眼中に入れなかった
「エリック、か…まぁ、座りなさい」
「父さん、あの、紹介し「座りなさい」
強い圧に押され、エリックに目配せをし
並んでエリックの親父さんの向かい側に座る。
「父さん、お…「エリック、毎年毎年
帰ってくるように言ってはいたが…
今回帰って来た理由はなにかな?」
自分で呼び足しておいて何言ってるんだこの人
日本で言うところの亭主関白ってやつか。
チラリとエリックを見ると、エリックは
諦めたように小さく息を吐いた
「今回は、俺の卒業後の進路と…
シャーロットのことです」
「よくわかってるな。」
「まず、「待って父さん、
彼…彼女のことを紹介させて」
エリックは親父さんが何も言う隙を
与えないよう間髪いれずに言葉を続けた。
これも親との接し方をよく知っている
子どもだからできることなんだろうな。
「彼女、は…同じ学校で、
彼女は日本からの留学生なんだ」
「それで?」
「それで…彼女を、「貴女お名前は?」
急に自分に話題が降られ、
驚いたものの小さい声でどうにか答えた
「スガワラです」
「へぇ…ところで、私は貴女ではなく
私の息子と話がしたいのですが?」
なんなんだこいつ。
意地の悪そうに椅子にふんぞり返る
エリックの親父さんを軽く睨み付ける。
端正な容姿にまるで人の心を見透かしてる
かのような赤い瞳
そうだ、この目を俺は知っている。
「それは…退出しろとのことですか?」
エリックの親父さんは答える代わりに…
さすがイギリス紳士。優雅な身のこなしで
ドアまで行き、にこやかに開いた。
「父さん!」
エリックが思わずソファから立ち上がり
強めに言っても、そんなのには耳も貸さず、
親父さんは俺に向き直った。
「さぁ、どうぞレ……「エリック!!!!」
その時だった。
ドダバタッ!と親父さんがたった今
開いた扉から勢いよく入ってきた『何か』。
『何か』はその勢いのまま、立ち上がった
エリックに飛び付き、一緒にソファに倒れ込んだ。
俺の脇を通るさいにふわりと百合の香りがした。
「ああ!私の王子様!
お帰りをお待ちしてましたわ!」
女の人の声が室内に響き、
エリックも親父さんも驚いていた。
それとは反対に女はエリックの上に乗り、
うっとりとした表情でエリックを見ていた。
今、俺はどんな顔をしているだろうか
そうだ、前にエリックにいわれたことがある。
「シュンって考えすぎると
たまに【無】になるよね」と
多分、今その顔をしている
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