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綺麗な表面と見えない中身
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俺は咄嗟に父さんを見た
案の定、目を見開き
口をパクパクさせていた。
シュンはそんなの気にもせず、
部屋に入り、俺と父さんを挟む
テーブルの横まで来た。
「き、君はその、あれか?
ボーイッシュな女性なのか?」
「いえ、男ですよ」
ニコリと微笑むシュンは綺麗だけれど、
この先一体どうするのかとすごくハラハラした
シュンが男だと知り、信じられないというように
首を横に振る父さん。こんなに
動揺している父さんは初めて見るかもしれない
シュンは溶かしたチョコレートだけが
入ったボールに手をかざして「まだ熱いか…」
とボソリと呟いた。
「これは、一体…」
「チョコレート・ドームです」
「チョコレートドーム?」
チョコレートドーム…初めて見たかもしれない。
シュンは一瞬俺を見てから、
少し間を置いて口を開いた。
「チョコレートの表面は、綺麗ですか?」
「え?あぁ…美しいと思う。」
きっと、シュンが湯煎でテンパリングしたから
だろう。綺麗に光沢を帯びていた。
「表面は、です。
では中はどうなっているかご存知ですか?」
中…?なぞなぞなのかな?
今日はシュンの意図が本当にわからなかった
「表面だけ見ていても何も始まらない。
中を見なきゃ。
自分を…出さなきゃ何も変わらない。
このチョコレートドームは今の
あなたとエリックだ。」
チョコレートドームが…俺と父さん?
あぁ、
そういう、ことか……
ようやくわかった。
シュンが考えていることが
シュンを見ると、俺に小さく微笑み、
チョコレートドームに熱い、
溶けたチョコレートをかけはじめた。
熱いチョコレートによって、ゆっくりと
溶けていくチョコレートドーム。
その光景は魔法が溶けていくようだった。
中から出てきたのはクッキー生地に
バニラアイスと冷凍のベリーやフルーツ。
それらが溶けたチョコレートと混ざり
綺麗に輝いていた
「これは…!」
シュンは知っていたのかな。父さんの
好きなものが、【バニラアイスとチョコレート】
だということを。
「どうぞ、アイスが溶けないうちに」
スプーンですくい、
チョコレートと一緒に口に運んだバニラアイス
もっと甘ったるくなるのかと思ったら、
そんなことはなかった。甘いバニラアイスに、
チョコレートはビターなため、
バニラとチョコが喧嘩することなく、
口の中でゆっくり優しく溶けた
おいしい
今まで食べたバニラの中で1番かもしれない。
「何を、使ったんだ?」
そう問いかけた父さんに、
シュンは、ゆっくりとこう言った
「特別な材料なんて、何一つ使っていません。
市販のチョコレートとバニラだけです」
市販…?この味が、市販で出せたってこと?
父さんはてっきり高級な材料でも
使ったのだとおもったのかもししれない。
目が動揺し、驚きが隠せていなかった。
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