アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
チョコレートカクテル
-
(※このお話は架空の設定であり、20歳未満の飲酒は法律で禁止されています※)
はあ………?
単純に間違いだろう
でも、その考えは違った 。
俺から数席分離れた右隣には赤髪の、
顔の整った男がニコニコと笑顔を張り付けながら
手を振っていたからだ。
そいつは自分のグラスを持ち、
勝手に俺の隣の席に移ってきた。
「こんばんは?いやぁ、こないな所で
素敵な人に出会えた。
オレ、あんたのこと知ってんで」
「は…?」
妙に馴れ馴れしく話しかけてきた赤髪は、
ニコニコと人の良さそうな笑顔をばらまきながら、
俺の目の前のグラスを指差した。
「まぁまぁ!あれ、飲まへんの?好きやんか?
チョコレート。ちょい珍しい種類なんや。
これ、チョコレートの風味が効いてて、
めっちゃうまいで」
「な?天才ショコラティエさん
あれ、それともドリンク系はあまり知識
あらへんさかい飲めへん?
ちなみにこれ、ノンアルコールやけど」
何で見ず知らずのこいつが、俺が
ショコラティエだと知ってるのかどうかを
今は先に考えるべきかもしれない。
けれど今は「ドリンク系は知識ない」
なんて貶されて黙ってられない。
チョコレート ドリンク?
この前の一ヶ月間で全部勉強してきたっつーの。
俺は目の前のカクテルグラスをガシッと、
掴むと中身を全部、一気に飲んだ。
ノンアルコールなら、大丈夫だろう。
そんな甘い考えだった。
「…まろやか。甘さの中にミントの
爽やかな風味を楽しめる。
女性から人気だろ?これ。スイーツを
飲んでるみたいな味わいだ…
ホワイトチョコレートリキュール と
ミントグリーンリキュールあと、生クリーム。」
俺がそう言うと赤髪はヒュウと口笛を吹き
「ほんまにすごいな」とボソリと呟いた
「…お前が誰だか、なんで俺のこと知ってるのか
どーでもいいけど、あんま甘くみんな。」
これだけ言えばどこか行くだろう。
そう思った俺の考えはどうやら
浅はかだったらしい。
そいつはどこかの行くどころか余計
食い付いてきて、一人でペラペラと喋りだした。
「なぁなぁ、なんでここに来てんねん?
俺は先生の付き添いでこないなクリスマスに
わざわざイギリスまで来てん。」
「…。」
「せやけど君みたいな可愛い子猫ちゃんに
会えてラッキーやったで…?」
「……。」
子猫ちゃん…?鳥肌だ。
スルーだ。こういうのは無視するのが1番いい。
「黙りさんやなぁ!あ、なんで君のこと
知ってるかって?そら俺も君と同じ世界に
生きる人間やさかいね。」
同じ、世界…?
じゃあこいつも……?
いや、ありえない、こんなやつ
「はっ、笑えない冗談をどーも。」
それだけ言うと、目の前のグラスから
意識をはずした。
少しだけ、店内が熱く感じだ。
体が暖かく、熱くなる感じが全身に広まっていく。
なんだ、これ……
「あれ…顔赤ない?大丈夫?もしかして…
さっきのカクテル?アルコール度数
めっちゃ低かったのに…お酒弱いん?」
「は…?ノンアルコールって言ってただろ?」
「そないなこと言うたかな?」
ニヤニヤした笑いかたが腹立つ…
こいつ、嘘ついたなっ…
だんだんと瞼が重くなって、
頭がボーっとしてくる。
「ほんま可愛いなぁ。そないな顔、
男の前でせぇへん方がええで…?」
頬に触れようとしたのか伸ばされた
そいつの手をパシリと払う。
あいつに触られるのは別にいいけど、
他の男は絶対に嫌だ。
「触ん、な…っ」
俺がキッと睨むと、そいつは赤く
妖艶な舌でペロリと自分の口の端を舐めた。
「うわ…色気駄々漏れやけど?それわざと?」
「なにが…」
こいつが何を言ってるのか頭が
ボーっとしてよく理解できなかった。
そいつはスッと俺の腰に腕を回し、耳元で囁いた
「なぁ…この後空いとる?」
あいつ以外の他のやつに触られ、
嫌悪感しかないのに、
いつもなら秒で振り払うのに、
今はなぜかその腕を払うのも面倒になっていた。
グイッとそいつの方に腰を引き寄せられ、
「あ、やばい」と頭はなぜか冷静だった。
その瞬間、
グイッッ
「⁉」
「何してんの?」
俺の左腕を掴んだ人物は、綺麗な顔を
怖いくらい無表情にして、俺の後ろに立っていた。
…大層不機嫌なことくらいしか、
今の俺は確認できない。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
107 / 232