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理性
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母さんからの電話の内容は、俺にとっては
あまり、いいものではなかった。
それは、アーサー…兄のことだった。
俺とシュンが帰った後にアーサーから電話があり、
今仕事でイギリスにいるらしい。
なんせ久しぶりに上の息子が連絡を寄越したんだ。
母さんも嬉しくなり、連絡したのだろう。
…この事は、シュンに言った方がいいのかな
そう思いながらも、絶対に言いたくない
自分がいることを、俺は知っている。
少しモヤモヤした気持ちのまま会計を済ませ、
シュンが待っているから早く戻ろうとした。
けれど、
シュンの隣には赤髪の、
どこかで見た様な気がする人物が座っていた。
…誰だ?
誰であろうと、少し距離が近すぎる。
一秒でも早くシュンから離れてほしい
そう思った矢先、そいつはスッと
シュンの腰に腕を回し、耳元で何かを囁いた
グイッッ
頭で考えるより先に体が動き、
俺はシュンの左腕を掴み、その人物が
それ以上シュンに近づくのを許さなかった。
「何してんの?」
「エリック…?」
顔を上げたシュンは頰がほんのり赤く染まり、
綺麗な目は潤み、いつもとは違う
別の色気が漂っていた
その余りに官能的なシュンの様子に
思わず息を呑んだ。
「ん〜?誰?」
顔を上げると
ニコリと人の良さそうな作り笑いを
顔に張りつける赤髪の人物。
シュンに何をしたの?
そう今すぐ問いただしたいけれど、
今はただごとじゃないシュンが最優先だろう。
「…シュン、行くよ。」
少し体温が高いシュンを椅子から立ち上がらせ、
何故かフラ付いているから腰を支える。
「ちょっ!もー、お兄さんその子のなんなん?」
まだ諦めずに絡んでくる赤髪の人物は、
俺の手首を掴んでくるものだから、
さすがに俺も堪忍袋の尾が切れそうだった。
俺が赤髪の人物に対して口を開きかけた瞬間、
シュンが思いもよらない行動に出た。
赤髪が掴まれていた手を俺の手首から払いのけ、
そのままスルリと俺の首に両腕を回し、
抱きついてきた。
いつものシュンなら、絶対にやらない
ましてや人前だ。
すごく、嬉しいけれど。
シュンは赤髪をチラリと見ると、
「俺のエリックだから。勝手に仲良くすんな…」
少し拗ね気味に言うものだから、
可愛すぎて危うくキスしそうになる。
でも、普通シュンはこんなこと言わないよね…?
疑問がいくつも生まれていくなか、
赤髪は少し笑顔を引きつらせながら、こう言った。
「え…『俺の』って、なに?
2人はもしかして恋人同士ってやつなん?」
あまりにストレートな質問に、
空いた口が塞がらない。
「エリックは俺の大切で、大好きな人だけど…?」
さも当たり前だろという雰囲気で言った
シュンはそのまま俺の頰に軽くキスをした。
そしてまた、嬉しそうに頰を緩め
ギュッと抱きついてくる。
あぁ、ダメだ
こんな可愛いシュンに当てられていたら
俺の中の理性が保てない。
俺は無理矢理シュンを自分から離し、
その手を引いてバーを後にした。
そこに残された赤髪がその時
どんな表情をしていたのかは考えもしなかった。
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