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2人分の思い
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【ムカつく】
シュンに酷いことを言ってしまった。
シュンのことになると、自分の中の黒く、
深い感情が浮き出てくる
嫌われたかもしれない
そう、思った瞬間フワリと
チョコレートの香りがした。
シュンに抱きしめられていた。
どうして…
状況が理解できない俺に
さらに驚きの言葉がかけられな。
「…ごめんな?」
ちゃんと聞こえるように、はっきりと言うシュン。
すごく素直な言葉だった。
いつものツンツンしたシュンじゃない、
かなり素直になシュンがいた。
じゃあ…さっきの言葉は?
本当にこと?
シュンがそう思ってくれてるってこと?
俺は少し間を空け、シュンに聞いた。
「『俺の大切で、大好きな人』って、本当に?」
「本当…。っていうか、俺の負けだよ。」
何故か苦笑いしたシュンに、訳が分からず
首を捻ると、シュンは俺を押し上げ、
自分も起き上がり、2人でベッドの上で
向かい合って座っている状態になった。
「覚えてるか?ドイツで…お前が、
『もっと夢中にさせてあげる』って言ったこと」
確かに、そんなことを言った。
その後シュンはいつもの挑戦的な顔で
「やってみろよ」って、言ってたっけ
「俺、あの時内心、絶対ありえないって思った。
それに、お前に…好きって言われた時も、
わからなかったんだ。俺自身が。」
そう…ドイツでシュンに気持ちを伝えた時、
わからないって、言われて、それで……
「ずっと、考えてた。俺にとってお前って
何だろうって。お前ってさ、友達とか、
1つ歳上の先輩とか、そんなんじゃ
抑えきれないんだ。
…エリックのことを考えると、楽しいし
幸せな気持ちになるけど、
それと同時に苦しくなるし、悲しくもなる」
ここが、
そう言ってトンっと俺の胸を
人差し指で叩いたシュン
「それが何なのか俺だって知ってた。
けれど、目を背けたかった。それに気づいたら、
お前ともう、普通の関係じゃいられなくなるから。」
それは、もう嫌なんだ。
そう言ってふと、悲しそうに微笑んだシュン
もう?もうって、何?
そう聞きたくて開いた口に、
シュンの人差し指が触れた。
「普通の男女なら…好き、って言うのは簡単だし、
恋人になるのだって容易いことかもしれない。
でも、本当にそれだけなのか?
違う。
俺にとってお前はそんなんじゃない。
もっと、大きくて、温かい存在なんだ。
お前は俺にとって、相棒であって、
隣にいてほしくえ…誰よりも、
大切な人なんだって、ようやくわかった。」
「…これが、俺の答え」
少し気恥ずかしそうに、
でも本当に綺麗に微笑むシュン。
「…最高」
「え?」
かなり小さい声で言ったから、
聞き取れなかったらしい。
そんなシュンを思いっきり抱きしめる
「両思い…ってことでいいの?」
「だからそう言ってるだろ」
クスクスと可愛らしく笑うシュン
「ずっと前から…お前に夢中だよ、エリック」
耳元で、俺の大好きな声でそんなことを
言われると、心臓の音が早くなる。
ふと、シュンと顔を見合わせる
チョコレート色の瞳に、俺だけが映り込む
…自然と、2人の唇が重なった。
窓の外には、雪が降っている
今年のロンドンは、
ホワイト・クリスマスになるかもしれない…
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