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ワールド・パティスリ・アワード フランス大会
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1月
フランス
AM8:00
***
あれから、1週間
それぞれがシュンに言われた役割を練習し
臨むこの
【ワールド・パティスリ・アワードフランス大会】
大きなホールで行われ、1チーム調理テーブル一台
時間制限は3時間
出場チームは10チーム程
そのホールにはすでに
フランス中の製菓学校の代表が集まっていた
「シュンとゼン遅くなーい?」
緊張なんか無縁ですって顔したルイが
俺に聞いてくる。そう、受付から
シュンとゼンが帰ってきてなかった
「あの2人だから大丈夫だよルイ。
それにしても参加者が多いね…」
「そうだねぇ…あ、女の子がいる〜」
ブリュンティエールは男子校だけど他の学校は
女子校だったり共学だったり様々な
チーム構成だった
隣のチームは女子校なのか、チーム全員が
女の子で、なにやら顔を赤らめキャーキャー
言いながら何かで盛り上がっていた。
「……ほんとほんと!東洋の人かな?
すごくカッコいい人とすごく美人な人がいたの!」
「えぇ!!見たいー!!」
東洋の人…?
その瞬間、入り口らへんで一瞬ザワリとした
なんだろうと思い、目を向けると…
シュンとゼンが何か話しながらこちらに
歩いてくる様子だった。
その2人を見て通るたびに各テーブルで
小さく黄色い声を上げたり、友達同士
嬉しそうにヒソヒソ喋る声が聞こえる
「いつも一緒に、いるから気づかないけれど
あの2人ってすごく…目立つねぇ」
ゼンは背も高く、顔立ちも整っているから
女の子の受けはかなりいい。
シュンは小柄ながらもスラリとしていて白い肌に黒く、澄んだ瞳がよく映える美人だと思う
何より、人を惹きつけるものを持っている
「はは…それを片方は気づいてないんだよ」
気づいてない、無自覚な彼。
案の定、シュンは少し
ご機嫌斜めになって戻ってきた。
「俺達を見てヒソヒソ話言ってる奴ら
ばっかだったぞ?どーせ、悪口だろうけど。」
そんなシュンを見てクスクスと
可笑しそうに笑うルイ
お菓子のことになるといくらでもそのお菓子の
良いところを見つけるのに、自分のことは
全然わかってない
シュンが良く言われるのは嬉しいけれど、
それと同時にすごく複雑な気持ちになる。
シュンのことを深くまで
知ってるのは自分だけでいい。
そんな真っ黒い感情が出てきそうになるけれど
今は…ダメだ。
「何度も言うけどこの大会を1位通過しないと
ヨーロッパ大会まで進めない。…まぁ、
大丈夫だろお前らなら。」
俺達を1人ずつ見て、眉ひとつ動かさず
相変わらずのポーカーフェイスで言うシュン。
でも、最後の一言には暖かさが滲んでいた。
「ちょっと、シュンちゃんは?」
大丈夫なのか?って意味だと思う。
ニヤッとしながらゼンが聞く
大会開始5分前のアナウンスが入る
シュンは、あの得意げな
挑戦的な微笑みを浮かべながらこう言った
「俺を誰だと思ってんの?」
大会スタートの、合図がなる
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