アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
これが正解ではないとしても
-
「雨降って来た」
時計は午後5:30
午前中の課外授業が終わった後、自室で
勉強に集中しすぎて薄暗くなり始めているのに
気づかなかった。
シュンは、帰ってきたのかな?
雨に当たってなければいいけれど…
携帯のメールでシュンに1時間前に連絡を
入れたけど既読になっていなかった。
少し…いや、かなり心配になる
途中まで迎えに行こうか?
土曜日だからソレイユ寮管理人の怖い年配の
おばあさんはいないから、この時間に
抜け出しても見つからなければ怒られない
コートを取ろうとクローゼットを開けた瞬間
コンコンコン
…ゼンかな?
クローゼットを閉め、扉を開けに行く
ガチャ
「…どちら様で…シュン!?」
そこにはカーキのモッズコートのフードを
深々と被ったシュンがいた。
2.3秒動かない目の前の人物に今更シュンじゃなかったらどうしようと冷や汗が出る
いや、背丈てきにシュンであって…
「…!」
急に抱きつかれる
モッズコートは雨に当たったのか濡れていた
どうしたんだろう
彼からこんなことをしてくるなんてすごく
嬉しいけど
彼らしくない
寒いのか、それとも別の何かなのか
華奢な肩は小さく震えていた。
顔の斜め下にあったフードをゆっくりととる。
「どうしたの?……シュン」
名前を呼ばれ、ビクリと動き
上げられたシュンの顔は
雨か…いいや、
涙で濡れていた
***
人目に着くからと、とりあえずシュンを中に入れ
コートを脱がせてタオルを頭にかける
服はコートのお陰で濡れていなかった。
とりあえず、ベッドに座らせ、少し濡れている頭を
優しく拭いてあげる
その間、ずっとシュンは黙ったままだった
「何か、嫌なことでもあった?」
シュンの前に膝をつき、シュンの手を握り
そう聞くと、シュンは首を横に振るばかり
…これは、何かあったな。
「そっか…」
シュンはきっと聞いてすぐ言うタイプじゃない。
だから…俺はゆっくり待つよ。
シュンが自分から話してくれるまで
シュンの横に座り、細い肩を抱き寄せる
「寒かったでしょ?」
「今日は本当にごめんね…今度、2人で出かけよう?
どこがいいかな…美術館でも巡ろうか?」
俺が一人で話しているけど、別にいい
「シュンの手、冷たいなぁ…」
俺より一回り小さいシュンの手をキュッと
恋人繋ぎすると、シュンが小さく
「温かい…」と言った。
ようやく喋ってくれた
そう思った次の瞬間、シュンは俺から少し離れ
上半身だけ振り返り、軽く向き合う体制になった
「なんでお前は…いつもそんなに甘いの?」
少し赤くなった目元からして
さっきのはやっぱり雨じゃなくて
涙だったのかもしれない。
でも、聞かない
「ん〜…俺シュンのこと甘やかすの、好きなんだ。」
繋がれた手と反対の手をシュンの頰に伸ばし
優しく撫でる。いつもなら「触んな、バカ」
なんて言うシュンも何故か今日は大人しく、
されるがままになっていた
「じゃあ…甘やかせバカ」
ポテンと俺の胸に頭を預けてきたシュン
子猫みたいで、可愛いけれど
本当にどうしたんだろ
シュンは、自分のことをあまり多く語らない。
俺はルイみたいに鋭い方じゃないからシュンが
何か抱えているものがあったとしても
俺は気づけないかもしれない
少しでもシュンの力になれてるのかな
俺はシュンに頼って貰えてる?
シュンは…
何を、考えているの?
少し不安になる気持ちを隠すように
シュンを優しく抱きしめた
壊れ物を扱うように、
そっとシュンの背中に手を伸ばした
「…お願い……」
小さく、掻き消されるような声
それと同時に俺の首に腕が回され
シュンに強く抱きしめられる
「もっと、して…忘れられるくらい、
優しくして…?」
小さく震えた華奢な肩と、俺を見上げる
潤んだチョコレートのように透き通った瞳
いつもと違うシュンにはどこか官能的で甘く、
甘美な香りが漂っていた
無自覚にやってるのは、わかるけれど
ドキドキし、心臓が早くなっている自分がいる
「…いいよ、嫌だって言うくらい優しくしてあげる」
トサッ…と優しくシュンをベッドに押し倒し、
キスをした
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
128 / 232