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あと5cmだった
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ゼンが言ってた通り俺はお節介だとよく言われる
仲良くなりたいって思ったら相手の心まで
入っていけるし、そうすれば相手を
よく知ることができる
それに応じて今までもたくさんの友人ができてきた。
けど…今回は、それができなかった
相手がシュンだからかな。
いつも通り、勝手にズケズケと心の中でも
どこでも入っていけばいいのかもしれない。
でも、シュンにはできなかった。
怖いんだ、すごく
わかるかな…シュンってすぐ消えちゃいそうで、
シュンの心に触れたら、ガラス細工みたいに
すぐに壊れちゃう気がするから
だから、あと一歩を踏み出せない自分がいる
一歩踏み込んでしまったら
シュンに嫌われてしまうかもしれないから
それが、怖い
俺はシュンのことになると臆病だ。
そう、感じた理由がある
この前土曜、シュンを抱いた時…
シュンが達する前放った一言「ごめん」
そう言いながら、黒いアーモンドの澄んだ
瞳から大粒の涙を流していた
生理的な奴なのか悲しみからなのかは
わからなかったけれど、俺はその涙を
拭うことができなかった。
拭ってはいけない気がしたから。
そのまま朝まで寝てしまい、起きたらシュンは
いなかった。変わりにシュンが買ってきてくれた
であろう紅茶の缶が2つ、机の上に置いてあった
その紅茶の缶からは何故か
チョコレートではなくコーヒーの香りがした
メモ用紙にはシュンの綺麗な丁寧な文字で
[先帰った。昨日は悪かった、忘れて]とだけ
書かれていた
何を忘れろと?
わからない
全然シュンの考えていることがわからなかった
…この瞬間俺は、思ってるほどシュンのことを
知らないって気づいていた。
いや、気づくのが遅かったのかな。
シュンの好きな食べ物、嫌いな食べ物
好きな場所、嫌いなこと、シュンの趣味や
今まで楽しかったこと…そして、シュンの過去
日本で何をして何を感じてどう生きてきたのか
まったく知らない
踏み込んでいけば、聞ける。
でも
あとわずかだけ
もう少しだけなのに
その勇気が出せない
ねぇ、シュン…
どうすれば君はまた、笑ってくれる?
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