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勘が鋭い
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テスト期間から3週間が立った。
その間シュンは目も合わさなければ
話もしてくれなかった。
ゼンとルイもさすがに変に思ったのか、
それぞれが探り合いを入れ、なんとか仲を
戻そうとしていた
でも、結局状態は変わらず
とうとう3月になってしまった
今月末にはヨーロッパ大会もある。
その話し合いをしなければいけない時期だった
そして、
「なぁエリック、お前本当に大学どうするわけ?
マジで行かねーの?」
突如かけられた声
今、午後の授業がないため図書室に併設された
自習スペースでゼンと大学パンフレットを
睨み合っていた
…俺たち3年生にとっては、もう自分の将来を
本格的に決めなければいけない時期だった
「うん…でも、少し悩んでるんだ今」
「ふ〜ん。あ、そういえばシュンちゃんも
ここで放課後すげぇ量の勉強してるよなー?」
「あぁ、うん…シュンは努力家だからね」
わざとなのか、不意になのかシュンの名前を
出したゼン。それだけで、何故か
すごく落ち込んでしまう自分がいる
シュンは放課後、調理室で何か作っているか、
図書室に篭ってギリギリまで勉強の
どちらかをしている。
喧嘩する前は…たまに俺も付き合っていた。
誰にも邪魔されないその時間…シュンが一言も
発さなくても、隣に居られることが幸せで
俺はその時間が大好きだった。
「ほーんと…学園の王子様がたった1人の
日本人にここまでとは、ね。
…でもお前らこそどうすんの?」
「…え、なに今の状態?」
俺がゴンっと机に頭を突っ伏すと
ゼンはまずいと思ったのか、少し焦りながら
こう付け足した
「いや、ほら、違うよ、あのねー。はぁ…
俺らが卒業したら、シュンちゃんも帰るでしょ?
日本に」
「あ…」
すっかり忘れていた
そうだった…シュンの留学期間は1年間
俺たちが卒業した後に彼も日本に帰ってしまう
ずっと、一緒にはいられない
「…あとさ、この前坊ちゃんから聞いたけど、
シュンちゃん最近毎週末は必ず街まで
出掛けてるってさ、知ってる?
坊ちゃんが聞いても理由は教えてくれないって」
「えぇ?何それ…」
初めて聞いた。そんな話
唖然とする俺に、ゼンがさらに追い討ちをかける
「こんなこと言いたくないけどさぁ…
もしかしてシュンちゃん、浮気してんじゃないの?」
浮気?
耳を疑った
「だって、急によそよそしくなってさ…
お前に後ろめたいことがあるからじゃないのー。
って、思ったわけ」
確かにそうだ。そうだけれど…
「シュンは、そんなことをする人じゃないよゼン。
君もわかるだろ?」
「俺だって何て馬鹿なことを考えたんだろうって
最初は思ったよ。でも考えてもみなー。
毎週毎週何しに街に行ってるのか
説明すらしないんだよ?」
ゼンは俺と違って勘が鋭いから
もしかしたら…
なんてことを考えてしまう自分が嫌になる
「でも、そうだとしても文句はいないよねー…
シュンちゃんって、あんなんだし」
どういうこと?
顔を上げ、ゼンを見ると
ゼンは少し苦笑いをしてこう言った
「だって、シュンちゃんモテモテじゃん。
学科は違うけど俺のクラスでも美人だって噂だし…
いつ誰に何をされてもおかしくないよ。
超無自覚人間だから、知らず知らずに男を
誘ってることにも気づいてない…
本当、罪な人だよねぇ」
そんなの、知ってる
俺のクラスでも2年のシュンのクラスと
合同実習があると大盛り上がりだから。
可愛い、美人だっていつも言っている
それを当の本人は悪口を言われてるって
勘違いしてるみたいだけど
「お前も無駄に優しいからさぁ…拘束もしなければ
嫉妬もしなそうだし。
手出されても何も言えねーよ?」
「わかってる…」
そんなの、わかってる
自分のどこかでは、シュンを独占して
俺のシュンだって印つけたい。
誰とも話してほしくないし、触れられて
ほしくないって考える
汚い俺がいるのも、わかってる
でも、シュンはそんなの絶対に嫌がるから
俺はそうはしない。できない。
…ほらここにも
シュンに嫌われたくない俺がいるんだ
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