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真っ暗になる
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前のテーブルにバーチ・ディ・ダーマを
持っていったエリックの背中を目で追いながら、
泡立て器にこびりついた生地を強めの水で落とす
バレなくて、よかった。
本当は途中何度もこれで合っているのか
どうかわからなくなった。
どこの工程をやっているのか、
次は何をすればもっとよくなるのか…
でも、エリックがたまに短く質問してきた
お陰でまた、作業を思い出し、戻ることができた
怖い
この1ヶ月、ろくに作れていない
作り方を、忘れている…?
すぐ治ると思っていた一時的な物
全然良くなってなんかなかった
…でも、今日みたいなたまの全学年合同実習で隣に
エリックがいると、いつもよりは調子が良い
でも、どうしてだよ…
お前には縋っちゃいけないのに
前なら、ちゃんと、ちゃんと…一人でッ…!
「やあスガワラ。相変わらず今日も美人だね」
急にかけられた声に驚いて後ろを見る
意地悪そうな笑みを浮かべた2人。
1人はメガネで、もう1人は燻んだ
茶色の髪のそばかす…
…誰だっけこいつら。
「…ねえ、何?
その、[その誰だこいつら]って顔は。」
いや、本当にそうだ。わからない。
そう思いながら最後の泡を流してしまう。
「やーっぱ、フランス大会で優勝しちゃうような
お方は俺達のことなんてわかんない?」
そばかすの方が腰に手を当てバカに
したように鼻で笑う
「いや、興味がないことは基本覚えないから。」
特に人の名前。そう付け足し、
キュッ、と水を止め。皿を拭きに取り掛かる
「なっ…!!…てかさぁ、フランス大会の
あの作品なに?シンデレラとか、笑わせる。
あの表情とか佇まいと雰囲気、ただの娼婦じゃん」
「変な作品で学校の名前汚すなよ」
ケラケラと笑う2人
何がそんなにおかしいのか謎だった
「…それがあの大会のテーマだった。
大人の、本当の童話の世界。それがわかんない
お前らの方が俺はわかんねーよ。」
カチャンと食器を置いて後ろを振り返り、
正面から見返す
2人は口を開き、言い返されてなのか
顔を真っ赤にして、今にも湯気が出てきそうだった。
一瞬クラッとして、こめかみを押さえる
何だこれ…?
「っ!どうせお前もその作品のシンデレラ
みたいなもんなんだろ?」
「は?」
「娼婦みたいにその容姿で…あぁ、体?
それで審査員をたぶらかして、
ずるして優勝したんだろ?そうじゃなかったら
2位のチームとあんなに差は開か…「おい、」
グイッと眼鏡のスカーフを引く
バランスを崩し、眼鏡は前のめりになった
「…もう一回言ってみろ」
ヒッ、と息を飲む声がしたけれど
そんなのに構わず、久々に大きな声で怒鳴る
「ふざけんな…!あれは、ゼンと、ルイと、
エリックと俺の…4人の実力だ!
それは俺だけじゃない、あの3人への冒涜だ!」
集まってくる人、遠くで誰かが名前を
呼ぶのが聞こえた
「だ、だって、多少の色眼鏡は
は、は、入ってるだろ!きっ、き、君は
知らないんだ。君の容姿は少なくとも追加点
としては大きいよ。君のその見た目では
そう思われても仕方がないんだ!
シュン・スガワラ!!体で点数を稼いでるってね!」
眼鏡がそう言い終わると同時に
誰かが俺と眼鏡を引き離す
体で…、って何?
…何、言って……
前にある広い背中、その人物は何故か起怒っていた
…次の瞬間、膝が抜けるような感覚で、
体を支えきれなくなり
目の前が真っ黒になった
意識が遠のく中、遠くで……
名前を呼ぶ声が聞こえた。
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