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一ヶ月ぶりのチョコレート
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後ろの方が騒ついているから
嫌な予感がして急いで人だかりの方に行く
案の定俺の悪い予想は的中して
トーマスにシュンが掴みかかっていて、
何か言い合いをしている所だった。
「だ、だって、多少の色眼鏡は
は、は、入ってるだろ!きっ、き、君は
知らないんだ。君の容姿は少なくとも追加点
としては大きいよ。君のその見た目では
そう思われても仕方がないんだ!
シュン・スガワラ!!体で点数を稼いでるってね!」
ひどい、言葉だった
俺は反射的にトーマスがそう言い終わらない内に、
シュンとトーマスを引き離した
「何してるんだ!」
シュンとトーマスを交互に見ると、
目を見開いて唖然としているシュンとは対照的に
息を荒げたトーマス、それを制するように今度は
クロードが一歩前に出てくる
「…これはこれはリホーウェン先輩。
スガワラが勝手に掴みかかってきたんですよ?」
そんな訳…そう思った瞬間、
隣のシュンがグラリと揺れたのが見えた
反射的にシュンの腰を支えるけど、支えきれず床に倒れてしまうシュン
「…シュン!?」
呼びかけても目は開かない。青白い顔と隈
きっと、貧血だ…
スッとシュンの膝の裏に腕を入れ、
シュンを横抱きにする
その軽さに一瞬驚いた
急にシュンが倒れてびっくりしたのか、
挙動不審なトーマスとクロード
今、この子達に構っている場合じゃない
「何言ったのかは知らないけど、
シュンのこと傷付けたのなら…絶対に許さない」
軽く睨みながら
そう言い残し、調理室を後にした
***
少し肌寒い廊下を抜け、一階の医務室に向かう途中
薄っすらと目を開けたシュン
状況を理解したのか、軽く固まり、抵抗する。
けれど力が入ってないから
構わずスタスタと歩き続けた。
「…なに、は?ちょっ…降ろせ…」
「ダメ、廊下でまた倒れたいの?」
少しキツくそう言うと、シュンは
理解したのか諦めたのか、
小さく溜息をついて俺の胸に頭を預けてきた
フワリと香るチョコレートの匂い
あぁ…シュンの匂いだ
ひどく懐かしく感じる、甘い香り
…今言うことじゃないかもしれないけど
1ヶ月ぶりくらいにシュンに触れることが
できてることが、どうしようもなく嬉しかった
でも、それと同時に
少し細くなったシュンを知ることにもなり、
ズキンと胸が痛んだ
ねぇ、シュンどうして……
また一つ増えた疑問
ビー玉のように、ドンドン俺の心に溜まって…
溢れてしまいそうだ
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