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悪い予感
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***
今日は随分暖かい。
もうすぐ春が来る。…あぁ、季節のね。
もちろん、[本物の]春も、ここに来るよ。
カランカラン
カフェの重そうな木の扉を開け、彼が入って来る。
俺が軽く手を挙げると、こっちに気づき
キュッと唇を噛んだ彼。
外は暖かかったはずなのに、こちらに歩いて来る彼は真冬の外を歩ってきたような表情をしていた。
「今日は随分早かったね、春」
「エリックに会ったのか?」
椅子に座るなりそう聞いたきた春。
これで会うのは何度目だろう
「どうして?」
「どうもこうも…エリックが、
リーのことを聞いて…知ってたから」
「そりゃあ知ってるよ。一応兄弟だろ。」
クスクスと思わず笑みが零れる。
…だって、8年前は春とこんな話を
すると思わなかったから。
「はぐらかすなよ…」
少し、怒ったような口調の春
「…会ってはない。けれど喋った。」
そう答えると、訳がわからない、
という風に首をコテンと傾げる。
…そういう仕草ひとつひとつが男を
たぶらかしていることを、きっと
わかってないんだろうなぁ
「…電話したんだ先週。春にね。
そしたら何故か弟が出たんだ。」
「何を喋ったんだ…?」
怪訝な表情の春。
「なんで、電話してきたって聞かれたから、
春と俺が会ってることを話した。それだけ。」
…春とエリックが知り合いになっていたのは、
クリスマスイブの夜、母さんに電話をした時に
聞いた。「今日、エリックが東洋の綺麗な人を
連れてきた」そう嬉しそうに喋る母さん。
少し特徴を聞いただけでわかった。
あぁ、春だって。
その時、
…悪い、予感がした。
だからこの前…8年ぶりに再開した時に、
自然に聞いてみた。
「特別な人ができたのか、」と。
そしたら俺の悪い予想は的中。
…可愛く、ふわりと微笑みながら肯定した春に、
胸が締め付けられるような気がした
だから、決めた
今度は、絶対逃がさない、って。
俺はそのためならどんな手段を選ばない。
例えそれが………
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