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安心感
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***
ヨーロッパ大会はもう明々後日に迫っていた日の夜
俺はいつも通り学校に行って、
なるべく3人を避けてきた
長いようで短かった一日が終わり
夜ご飯を終わらせ、部屋に帰ると電話が来ていた。
母親からだった。
「…あー、うん、わかった。
え?食べたよさっき……」
リー以外と話す久しぶりの母国の言葉が
やけに変な感じがした
コンコンコン
部屋の戸が叩かれ、電話を切らずに、
扉を少し開ける
誰だ…?
「Bonsoir…シュン、」
そこにいたのは、はにかみながら
おどおどとした感じで立っていたルイだった
俺が電話をしていると気づいたのか、小さく謝り
帰ろうとした所を肩を叩いて顎で部屋を指した
「もうすぐ終わるし、入れば?」
「え、でも…」
「いーよ、」
ありがとうと微笑むルイを部屋に招き入れ、
電話越しでまだ何か言っている母親に一言
二言、話をしてから、電話を切った
俺の部屋に来るとすっかり
定位置になったベッドの上に座るルイ。
俺は机の椅子を引き、向かい合うようにして座った
「電話…いいの〜?」
「あ?うん、母親からだからいい。」
そっか
そう言ったルイとの間に流れる沈黙
…そういえば、こんなにルイといなかった日も
なかった。フランスに来て、初めてかもしれない。
俺が一方的に避けてただけだから余計に罪悪感が
つもり思わず優しく声をかけてしまう
「なんか、用事あったんだろ?」
「うん…あのねぇ、大した用事じゃないんだけどぉ、
明日、一緒に出かけない〜?」
「…どこに?」
「ほら、ヨーロッパ大会はイタリアで
開催でしょお?だから…街に切符でも買いに
行かないかなぁって」
そういうことか…
ルイからの誘いは嬉しかった
何となく気を使ってくれてるのがわかるし
でも……
「…切符なら、俺が買ってくるよ。
丁度宅急便が届くらしいし、取ってくるついでだ。」
「じゃあ、一緒…「ルイ、1人で行きたいんだ…」
頼むから
そう俺がいうと…悲しそうな目をしたルイ
ルイのそういう表情を見る度に
俺の心は刃物で引き裂かれるようだった
「じゃあ、シュンにお願いするねぇ……」
困ったように微笑むルイ
「…悪い」
首を横に振るから
フワリと柔らかそうな髪が揺れていた
ルイは俺を手招きした
何かと思い近づくと…服を引っ張られ、
ルイの横に座らされる
そのままグイッとルイに肩を寄せられ、
自然とルイの肩に俺の頭が乗る形になってしまう
「……え、何?」
「ふふ、こうすると落ち着くでしょ〜?」
そう言ってニコリと優しく微笑んだルイに、
肩の力が抜けていく気がした
…どこか、懐かしい感じの安心感を、
ルイといると感じることができる
この感覚を…俺は知っている。
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