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小包
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「本当…よく見つけたよな」
ゆっくりと歩くパリの道
俺は駅まで切符を買いに行き、その後
中央の大きな郵便局まで日本からの小包を
取りに行った帰りだ。
俺の手に握られているのは俺の母親が
日本から送ってきた…じいちゃんの
手記が入っていた
送った当の本人も中身は確認していないらしく、
俺も後で寮でゆっくり読もうと思っていた
「……じいちゃん…」
交差点に立ち、小包を見る
……俺は、ある決断をした
誰にも言ってない…けど、
いつかは決めなくては行かないこと
ギュッと、手に力が入る
信号が、赤から青に変わる
渡ろう、そう思い足を踏み出した時
名前を呼ばれた気がした
気のせいかと思ったけれど
気のせいではなかったらしい
「春、」
パシリと、後ろに腕を取られる
交差点の真ん中だ
そこで立ち止まるのは流石に気が引けたのか
俺の腕を取った人物はそのまま
反対側まで渡りきり、振り返る
「みーつけた。」
楽しそうにニコリと微笑む赤い瞳
珍しく高そうなスーツに身を包み、モデルかと
思う程の容姿に普段ですら注目を浴びるのに
今日は尚一層目立っていた
「なんでここに…?」
「仕事が終わってタクシーから降りたら
可愛いお姫様を見つけた。追いかけたら
春だったってわけ。どう?」
どう?じゃねーよ…
そんな臭いセリフもカッコいい姿に
似合いすぎて腹が立つ
「……丁度いい、この前の答えが知りたい。
今日は暖かいから公園を散歩しない?」
人通りの多いココでは確かにリーといると目立つ。
あまりいい考えとは言えないけれど
仕方なく俺は応じることにした
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