アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
ごめんね、
-
ポケットの中で、十字架が揺れた
色違いの、シュンの黒のネックレス
「…聞いたんだろ?シュンのこと、
日本であったこと」
「あぁ…うん……」
兄さんとこんな風に話すのは、いつぶりだろうか
「あの子が抱えているものを、
背負う勇気がお前にあったの?」
「……わからない」
今思えば、俺は自分のこと
ばかりだったかもしれない
好きだから、好きだから知りたいと思った。
もっとわかりたいって、思った
それが……ダメだったのかな
俺が俯くと、兄さんがハァ、と溜息をつき
静かにこう言った
「……俺がシュンに言ったんだ。
お前と関わるなって」
「え…?何故?」
突然の告白に怒りとも戸惑いと
も取れる気持ちが湧き上がる
赤い瞳と交わる
──────。
兄さんの口から出た言葉は……俺を酷く驚かせた
それと同時に、ようやく話が繋がった
この酷い2ヶ月間の話が
俺は無意識のうちに、
シュンの携帯に電話をかけていた
『────。』
留守番電話になったけれど…
俺が帰るまでにはシュンも気づいてるはず
兄さんと交差点で別れる。
彼とは…また今度話せばいい
そう、思った。
帰ったら、謝って…ちゃんと俺の気持ちを伝えて、
シュンの細い体を抱き締めて、キスをしたい。
信号が、青になる
渡りきった所で、
交差点の段差につまづいたのか少し前を
歩いていた女の子の靴が脱げてしまったから、
片膝をついて…履かせて上げる
可愛らしいmerciを聞いた。
立ち上がる
…そうだ、それからシュンに……
そう、考え、立ち上がった
その瞬間
誰かの悲鳴と、大きな音が聞こえた
咄嗟に、手の中にあったシュンの黒いネックレスを握る
壊れて、しまわないように
……次の瞬間には、もう
目の前が真っ暗になった
…………ごめんね、……シュン……。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
172 / 232