アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
いつだっけ……
-
……最後にアイツに触れたのはいつだっけ
そんな事を考えながら俺は…隣で
しゃくり上げるルイと、目を閉じて
手を組んでいるゼンに挟まれ
集中治療室とフランス語で書かれた
部屋の前のベンチに座っていた
──2時間前
学園に戻った俺は、寮に帰る
途中でルイに会い、酷く心配された
目は泣き腫れ、相当疲れていたからだ
ルイに促されるまま寮の談話室の
ソファに座り、話をしている最中
ゼンが勢いよく入ってきて、
全然つまらない冗談を言った
『エリックが、事故にあった。
今パリ市内の病院に運ばれているらしい』
ルイも俺も、嘘だと思った。
けれど…ゼンの表情が、
今までにないくらい青ざめていたから
信じざるを得なかった
俺達は急いで病院に向かった
その間のことはあまり覚えていない
何も、考えていなかったのかもしれない
気がついたら病室の前のベンチに座っていて…
少ししたら…ルイに肩を抱かれて、病室に入った。
一番奥のベッド
その横には、リーが難しい顔をして立っていた
リーの視線の先にいる
包帯を巻かれ目を閉じて横たわる人物
金色の柔らかそうな髪
腹が立つくらい整った顔
目を閉じていてもわかる、優しそうな目元
違う……
違う、これは………
…エリックじゃない…………
「…ン、……シュ…ちゃ…、
……シュンちゃん?大丈夫?」
俺の肩を揺さぶるゼン
ようやく、焦点が定まった気がする
「……大丈…夫………」
俺がそう言うと説明を始める医者
「…事故による、強い衝撃で一命は
取り留めましたが、意識が戻らない状態で
いつ、意識が戻るかは…わからないのです」
医者が言ってることが、まったく入ってこなかった。
いや、俺の体がその話を聞くことを拒絶していた
暫くして、医者が出て行くとルイを
連れてゼンも部屋を出て行った。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
173 / 232