アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
荷物が届いてない
-
***
「どういうことですか〜!?
ちゃんと送ったのに〜!」
会場に着いて、最初に目にしたのは
係りの人に必死に抗議をしているルイ
何事かと事情を聞くと…ルイは
半泣きになりながら説明をした。
───荷物が、届いていないんだぁ…
「つまり…先週あらかじめ
この会場に送った荷物がないってこと?」
「ううん……それが、係りの人はちゃんと
僕たちのチームテーブルに朝運んだって…
その後、箱ごと無くなってたらしくてぇ……」
ごめんねぇ…と、今にも泣き出しそうなルイ
「ルイが悪いわけじゃないから…泣くな」
そう言いながら、自然とルイの頭の上に
手を置くと、ルイが「シュン〜」と
半泣きになりながら抱きついてきた
…あぁ、エリックの癖か。これ、
すぐ人の頭に手を置いて撫でてくるやつ……
いつの間にか、俺にもその癖が移っている
複雑な顔を上げると
ゼンと目があった。
「こんなこと…ないよネ?シュンちゃん……」
眉間にシワを寄せ、
なにかを察した様子のゼンに、頷く
考えたくはないけれど考えられること…
【誰かが、もしかしたら、荷物を、盗んだ】
一体……誰が…
ギュッ、と瞼を閉じる。
考えを止めるな…俺、考えろ、考えろ
「……コックコートは、いい。
別に服装は決まってない。いつも持ち歩いている
黒のエプロンがあるから、それで出るよ。」
「そうね、正装がコックコート
だってだけだからね。」
「でも〜、食材、どうするぅ…?」
そう、食材…
今回はチョコレートをメインにしようと
思ってカカオ成分が多種多様な
チョコレートを用意していた。
それが、ないとなるとかなり戦況は
厳しくなるだろう。
「ったく、一体どこのどいつがやったわけ?」
悔しそうに足を踏み鳴らしたゼン
「まだ、誰かが意図的にやったとは
決まってないだろ…それに、
今はこの状況をどうするかだ。」
そう、今の状況をどう乗り切るか……
今日は当日にテーマの繊細が発表される。
ある程度の種類の食材がなければ対応
できないかもしれない
ふと、エリックの顔が浮かんだ。
こんな時…パッと答えを出して提案してくれるアイツ
なんで、今お前が出てくるんだよ……
考えてしまう。ずっと
エリックのことを…
忘れなきゃいけないってわかってるのに、
考えたらいいものが作れないってわかってるのに
ベッドに横たわり酸素マスクをつけたまま
目を覚まさないエリックのことしか…考えられない
その時だ
「なあなあ、あんたらもしかして
チームスガワラやんな?」
トントンと肩を叩かれると同時にやけに
明るい声がした。
驚いて振り返るとそこには……
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
179 / 232