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また、いつものように
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「あ、帰ってきた…!」
坊ちゃんの声に携帯を凝視していた俺は顔を上げた。少し時間が心配になる中、
ようやく戻ってきたシュンちゃん
他のチームの出場者はすでに着替えを
済ませ会場に入っていた
「悪い、遅くなった。」
そう言いながらカーディガンを脱ぎ、
ルイが持っていたシュンちゃんの
黒のエプロンを掴んだ。
「シュ、シュン…?」
少し驚いたように声をかける坊ちゃん。その気持ちもわからないことはない。
だって、さっきとはまるで別人だったから。
イタリアに来た…いや、ここ2ヶ月の
シュンちゃんは元気がなく、
鳥籠の中の鳥のように沈んだ目をしてた。
けれど今は、
涼しい顔をして、何事もなかったかのように
している。それだけじゃない。
目が妙に据わっている。
「大丈夫…?シュンちゃん?」
何も答えず、俺をチラリと見た後
エプロンの紐を結んだシュンちゃん
そして、こう言った
「お前が心配してるとか気持ち悪い」
「え。」
小さく微笑みながらの突然の暴言。
その笑顔があまりに綺麗だったからビックリした。
「冗談だって、ゼン。
……悪かった、その、色々と心配かけて」
そう言いながらも準備をする
シュンちゃんを坊ちゃんと呆気にとられながら見る
「前も言ったけど俺は今スランプだ。
だからできるかわからない。正直怖い。
けど…お前らとまだ、いたい。だから…
…俺の力、全部出してくるから」
真剣な、吸い込まれそうな黒い瞳。
その言葉に、胸のあたりが掴まれたような
感覚になったけれど、シュンちゃんの
唇も小さく、震えていた
すごく、すごく…怖いことなんだ。
何もできないことが、何も作れないことが
そして世間の目が期待を浴びるほど、
プレッシャーは大きくなり、のしかかる。
そして、絶対後には引けなくなる。
この天才は、今まで敗北という
言葉を知らなかったから。
それでも
パシッ、とシュンちゃんの両手を掴む坊ちゃん
「シュン、信じてるからねぇ」
フワリと微笑んだ坊ちゃん
「…オレも、信じてるよ、シュンちゃん?
ほら、いつもの生意気なシュンちゃんはどこ?
俺をだれだ「俺を…誰だと思ってんだよ」
クスリと少し可笑しそうに微笑みながら、
いつものように挑戦的な目をするシュンちゃん
そう、それだよ。
シュンちゃんは、そうじゃなくっちゃ
あいつも、そんなシュンちゃんだから、
好きになったんだからさ
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