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桜の下のパーティー
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不思議そうな顔をしたシュンを連れて
あれから公共交通機関を乗り継ぎ
パリの街中を歩くこと数分
俺達の後を黙ってついてきてくれたシュン
この荷物でバレなきゃいいけど……
「なんで公園…?」
思った通り、不思議そうな顔をするシュン
俺達3人は顔を見合わせ、目で会話する
事前の打ち合わせ通り…
「シュン〜、ちょっとごめんねぇ」
「は!?ちょっ、おい…なんだよこれ!」
ルイが持ってきたバンダナでシュンの目を隠した。
前が見えないシュンの手をゆっくりと引いて、
歩きだす
「おい、本当なんなんだ……」
「まあまあ、だまってついて行きなよ
シュンちゃん。あ、そこ木の根っこあるからネー」
ゼンにそう言われピョンッとうさぎのように
跳ねたシュンを見て、思わず笑みがこぼれた
地面は舗装され土から芝生へと変わる
「シュン、stop…ここで、待ってて。
目隠しは取っちゃダメだよ?」
「はぁ?」
ブツブツ文句を言いながら
大人しくその場で止まるシュン。
その間に…俺達は、ある準備を終わらせる。
「ねぇ、いい?いいよねぇ?」
「うん、いいよ。」
嬉しそうにシュンの元へ行き、
目隠しに手をかけるルイ
「せ〜、のっ!」
シュルッ、と、取られる目隠し
「「「誕生日おめでとう!シュン!!」」」
パンっ、パンッ!
ゼンと俺が持っていたクラッカーが鳴る
突然のことに目を見開くシュン
それもそのはず。
目の前の芝生にはシートが敷かれピクニックの
ようになり、それぞれが作って持ってきた
スイーツや料理が並んでいたからね
「誕生日……?俺の?」
「そうだよ、シュンの誕生日。
前、教えてくれたから」
「…忘れてた……」
まだ、呆然としているシュンだけど誕生日を
忘れていたという事実に驚く俺達
でも、これだけじゃないよ?
「シュン、後ろも見て」
ゆっくりとシュンが振り返る……そこには……
「あ…!」
大きな桜の木があった
数は少ないけれど、淡いピンクの花を咲かせ、
美しく、凛と、佇んでいた
甘い香りが、風に乗り運ばれる
桜を見たまま固まるシュン
「サプライズ…失敗したかなぁ?」
心配するように手を組み、顔を隠したルイ
「…しい……」
背中を向けられ、よく聞こえなかった
何?
そう聞こうとした瞬間
サァッと少し強い風が吹き
桜が舞った
小さいけれど、綺麗で、可愛らしい
桜と一緒にシュンも振り返った
目を、奪われた
桜吹雪にも……
あまりに綺麗に微笑んでいたシュンにも
「嬉しい…すげぇ嬉しい」
そして、少し恥ずかしそうに
目を伏せながら「ありがとう」と言ったシュン
その姿に胸の奥がギュッと締め付けられ、
すごく…幸せな気持ちになった
「よ〜し!じゃあシュンの
誕生日パ〜ティ〜をしよぉ〜!!」
賛成!
そう答えて……俺達は今日の主役を迎え
桜の木の下で小さな誕生日パーティーを始めた
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