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青木恋 お誕生日特別編①
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〜琉side〜
朝、珍しく早起きをした。
いつもなら恋の方が必ず早く起きるが、今日だけは別だ。
ピピピッという目覚ましの音を瞬時に止めれば、まだ時間は6時。
横を見れば、スヤスヤと寝息を立て、安心しきった顔で眠る恋がいて、その額にそっとキスをする。
「お誕生日おめでとう、恋。」
そっと呟いて恋を起こさないようにゆっくりベッドから抜け出し、1階に降りる。
フレンチトーストを仕込み、果物を切る。
仕込み終わったパンを焼いている間に、生クリームやメープルシロップ、チョコレートソースなど、いろいろなものを用意して、机に並べる。
フレンチトーストに合うように、恋にはオレンジジュースを、自分にはコーヒーを淹れた。
全てが出来上がったのは朝の8時。
ちょうどいい頃だ。
そろそろ恋が起きてくる…はずだ。
昨晩は抱いていないし、今日出かけると言ったら恋は早々に眠りについた。
「んー…おはようございます…」
やはり恋は起きてきて目をこすりながらリビングに入ってきた。
「ん、おはよう。朝飯出来てるよ。」
「ん…すごい甘い匂い…美味しそう…」
まだ目がちゃんと開いていない恋が、すぅっと息を吸い込み、頬を緩ませる。
「わぁ…すごい…!」
そして実際に目でそれを捉えると、恋の表情はさらに明るくなる。
やっぱり、相当甘いもの好きなんだ。
「ほら、座って食え。」
椅子に座り、まず一口。
フレンチトーストを頬張った恋は、心底幸せそうな顔をしている。
「んーっ…おいひいっ!」
「はいはい、感想は口の中なくなってからな。」
若干興奮気味の恋が可愛くて、ポンポン、と頭を撫でる。
「ん…これ、琉さんが作ったんですか?」
「ん?うん。」
自分もフレンチトーストを食べ、なかなかうまくいったな、なんて考えながら返事をする。
「んふふ…嬉しいです。」
口元を緩ませ、ふわっと笑う恋。
可愛すぎんだろ。
「食ったら出かけるからな。」
「はい。デート…ですね…」
頬を赤くしながらそう言う恋はやはり可愛い。
今日は恋を遊園地に連れて行こうと思う。
そのまま近くのホテルに泊まるつもりだ。
「…ごちそうさまでした。」
綺麗にフレンチトーストを完食した恋がそう言う。
「着替えておいで。後片付けは俺がやっとくから。」
「え…でも…」
「いいの。今日はなんもしなくていいから。」
恋がじっとこっちを見つめてくるので、ポンポンと頭を撫でる。
すると頬を少し赤くして、頷いた。
「今日だけ…甘えます。」
本当はいつも甘えてほしいくらいなのだが、まあいい。
ささっと後片付けを終えて、俺も着替える。
白いシャツに、紺色の7分丈のズボンを履いて、適当に髪をとかして、変装用のメガネをかける。
…俺ってファッション適当だよな、うん。
翔也はオシャレだけど。
恋はというと、白とグレーのボーダーのタンクトップの上から濃いめの青のシャツを羽織り、薄いベージュの半ズボン。
恋は割とオシャレなんじゃねえかな、多分。
「琉さん…そんなじっと見ないでくださいよ…変ですか?」
「ん?いや?恋って結構オシャレだよな。」
「そんなことないです。」
そう言う恋は少し照れていて可愛い。
「よし、行くか。」
特に何か持っていくものもないので、ポケットに携帯と財布だけ入れる。
恋はワンショルダーに携帯、財布、ハンカチ、ティッシュ、ウェットティッシュまで入れている。
…女子か。
家を出て、最寄りの駅に向かう。
さりげなく恋の手をとってみたら、恋はちらっとこっちを見てきた。
「ん?」
どうかしたか?と無言で尋ねるように見返すと、ポッと頬が赤く染まる。
朝から可愛いが止まらない。
いつまでも手を繋いだり、キスをしたり、セックスしたりすることに慣れないらしい。
毎回必ず恥ずかしそうに顔を赤くする。
「あ、の…今日はどこ行くんですか?」
「着いてからのお楽しみ。」
駅に着き、電車に乗る。
平日の朝9時となるとまあまあ空いている。
少し前だと通勤ラッシュだけどな。
「寝ててもいいぞ。」
乗り物酔いが酷い恋は、寝てた方が移動は楽だ。
「すいません…」
「いいよ。」
そう言ってやれば目を閉じ、恋は眠りに落ちる。
乗り物に乗った時の恋の入眠はとても早い。
このままでは首が痛いだろうと思い、恋の頭をそっと自分の肩に凭れさせる。
…と、スリスリと顔を腕に擦り寄せてくる。
やばい、可愛い。
電車の中でスマホを弄りながら時間を潰すことが、こんなに大変だとは思わなかった。
起きた時の恋は、それはそれで、ぽわっとして無防備で可愛くて、今日、夜まで我慢が効くのか、俺は心配になった。
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