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お酒
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「傑様、お酒をお飲みになられるのはよろしくないかと思います。」
「未成年だからか?ほっとけ。」
明希を路地裏で脅してから数ヶ月。
俺はものすごくイライラしていた。
明希にあんなことをしたいわけじゃない。
今更わかったけど、俺は明希と仲直りしたいんだ。
あんなに怯えさせて、泣かせたいんじゃないんだ。
烏沢俊蔵が逮捕されて、バタバタしていたのも落ち着いてきた最近、俺はやっと自分の気持ちを理解した。
確かに、中学時代は明希が好きで、独占したいと思って、あんなおかしなことをした。
でも今は、恋人になりたいとか、そんなことは思っていない。
俺はただ、中学の時、明希が無邪気に笑ってた頃に戻りたいだけだ。
今更虫が良すぎる話だけど
俺は明希と、友人になりたい。
「未成年といいましても、傑様は明日、成人されますから、それについてはお咎めいたしませんが…」
咎めないのかよ、と突っ込みたくなる。
でも確かに、俺は明日誕生日で、20歳になる。
「ここ最近、傑様は休養を十分に取られていません。お体に触ります。」
「成宮には関係ないだろ。」
酒を飲むのは初めてなのに、父様の飲むブランデーしかなくて、それを飲む。
「傑様。きちんとお休みになった方がいいです。」
「…成宮は、俺を許せる?」
酒を飲んだら、素直になれそうな気がした。
まだ、酔ってもいないけど。
「なんのお話でございましょう。」
「もし俺が、お前を強姦して、脅していじめたとして…謝ったら、許せる?」
「明希様は、お許しになるかと思います。」
「は?俺はお前の話をしてんだけど。」
「私が許すかなど、傑様はどうでも良いのではないですか?」
変に鋭いこの男が、今は少しだけありがたい。
「明希様はお優しい方です。誠心誠意謝れば、向き合ってくださると思います。」
成宮は、明希は見たことがある程度だろうに、そんなことを言う。
でも、明希が優しいのは間違ってない。
「傑様が、心から望むのであれば、明希様は友人になってくださると思いますよ。」
「…はー…あっそ。もういいや、お前今日は仕事終わり。」
「傑様がお休みになられないのならば、私も休めません。」
「意味わかんない意地張るなよ。」
「意地ではなく、仕事です。」
「成宮、よく俺が嫌にならないよな。」
「なぜですか?私が傑様を嫌いになるような理由はないと思いますが。」
「恋人レイプして、再会してもいじめて…仲直りしたいくせにひねくれて。独占してることに優越感を覚えるような狂ったやつなんだよ、俺は。」
「それは昔の話でしょう。傑様が中学生の時は、この家がごたついておりましたから、傑様も精神的に不安定だっただけだと、私は認識しております。」
俺が明希と付き合い始めた頃、明希の家がゴタゴタしていたように、俺の家もゴタゴタとしていた。
母様が浮気をしただとか、姉さんが妊娠してるんじゃないか、だとか。
結局母様は浮気なんてしてなくて、姉さんも妊娠なんてしてなかったけど。
「私は傑様を小さな頃からずっと見てまいりました。中学生の頃の傑様と、今の傑様は全く違います。」
成宮にそう言われると、なんだか信憑性がある。
…なんか、頭がふわふわする。
酔いが回ったのか?
「…成宮…」
「はい。」
「酔った。」
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