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54話
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正確には走りかけた、だ
ぐにゃりと歪む視界
ま、じか…
俺の身体は言うことを聞いてくれない
どうにか踏ん張っても
体が鉛の様に重くて
クソが
スローモーションの様に世界が、身体が地面へと落ちていく
「だから言ったのに先輩のバカ」
後ろから聴こえたのは紛れもない凪斗の声で
一瞬何が起こったか分からなかった
身体に伝う衝撃が無い
気づいた時にはアイツの胸の中にいて
凪斗は怒っているのだろうか
状況が読み込めない
フワッと身体が宙に浮く
「お姫様抱っこでごめんなさい」
「ざけんなっ」
こんなのはただの強がりで
本当は指一本も動かせなくて
迷惑かけたら幻滅される
凪斗にも、他の人にも迷惑がかかってしまう
だからここで倒れる訳にはいかないのに、
瞼を閉じる訳にはいかないのに
その考えとは裏腹に俺の意識はブラックアウトした
「心配させないで下さい…奏汰さん」
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