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学生の本分
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この間から着信がうるさい
原因は蛍と若利さんだ
インハイが終わってからあの2人がやたらと連絡を寄こす
正直うざい
特にうざいのは蛍だ
最近では練習終わりの俺のリハビリにもついてくるようになった
日向影山に勉強を教えてからくるのだからホントよく分からない
リハビリを終えて出てくると待合室に蛍が居る
俺が出てくる方に背を向けてヘッドホンをしなにやら読んでいるようだ
黙って帰るわけにも行かず肩を叩いて合図する
「また待ってたの?蛍」
ヘッドホンをはずして少しむすっとした顔をした
「待ってるって僕、言いましたよね?」
「あーそうだったね」
俺が目をそらすと蛍は少し俯いた
「綾斗さん迷惑でしたか?」
「迷惑ってか、待ってても暇だろ」
「別に」
蛍は口を尖らせる
普段見ない顔だ
そんな顔をする後輩なんて俺には居たことがない
男に対してかわいいと思ってしまうのは少し可笑しいだろうか
「そうかよ。ほら、さっさと帰るぞ」
俺は蛍のふわふわした髪の毛をわしゃわしゃと撫で回した
「ちょっ」
蛍はさっきとは違うむすっとした顔をした
最近はこの男の顔の違いも少しはわかるようになってきた
俺はバレーの事はよく見えてたと思う。けど、人の顔とかはよく見えてなかった
実際、強化練習とかでたくさんの選手を見て研究してきたけど、顔はいまいち思い出せない
こういう事に気がついたのは烏野のバレー部に入ってからだ
俺がもっと早く気がついていたなら、違う道もあったのかもしれない
「なに考えてるんですか?綾斗さん」
俺の自転車を押させ蛍と一緒に歩いて帰る
「んー。蛍のこと」
「へぇー綾斗さん僕の事考えてくれるんですか?」
あ、今少し嬉しそうだ
「まぁな」
「くっ、綾斗さんその顔反則です。」
「なにがだよ。普通だろ」
「綾斗さんは、もう少し自分のこと理解するべきデショ」
「蛍の言ってることはよくわかんね」
やっぱり俺には他人を理解するのは難しそうだ
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