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俺は昨日と同じように他チームをみて回る
「ずいぶんと冷たいなぁー。僕が君を見間違えるとでも思っているのか?」
声おかけてきたのは梟谷のコーチ滝沢さん。
最後まで俺をスカウトしにきた人だ
「お、お久しぶりです滝沢さん」
「ま、そりゃぁ避けるよな。僕は散々『君はバレーの神様から逃れられない』って言ったのに、逃げて結局こうして今ここにいるんだから」
「ホントですね。すみません」
怪我をして俺が半年ほど寝たきり状態を医者に強要された事など、東京の強豪高校のスカウトを任されている人たちには有名な話だった
その時にスカウトしに来た人も居た
取り合えず、怪我が治ってまだバレーボールをする気があったら声をかけてほしいと
「ま、今からでもうちにこないか」
でも、この人だけは違った
『君はバレーの神様に好かれている』
『必ずまたバレーと向き合う時が来る』
『その時、君にはベストな環境が必要だ。だからうちに来い』
そう言って、何度も何度も俺の元を訪れていた
「遠慮します。うちのメンバーに滝沢さんよりしつこい奴がいるんですよ」
俺は夕をみた
ここに俺を連れてきた人物
今度は梟谷の試合をみる
赤葦を見る
「それに、梟谷にはいいセッターがもういるじゃなですか。俺に木兎さんを120%使いこなす事はできないですよ」
「それでも僕は君がほしかった。自分の手であのマムシの頭を育てたかった。ってのは建前で僕は君のプレーに惚れて居たんだと思う」
「大げさな。俺のバレーはあの年、あの年代だから通用した。それは俺が一番痛感している所です」
今このメンバーをみて他校を含めて俺が入っていけるチームがあるとは到底思えない
滝沢さんは俺の肩を叩いた
ぐっと力が入っていた
「へぇー。お前、バレーボールなめるなよ」
ぞくっとした
たまに見せるこの人のこの顔
深く関わっていたわけではない
けど、やはり強豪の一癖もふた癖もあるメンバーを締める人にある厳しさ
「気が向いたら声かけてよ。いつでも僕は大歓迎だからさ」
いつもの顔にもどり、そういって滝沢さんは去っていった
すっと力が抜けて自分が息をしていなかった事に気がつく
「ちゃんと周り見ろっ!ボケっ!!何のための声かけだ!タコォッ!!」
鵜飼さんの声が響いた
あまり大声で怒鳴るような人ではない
何かあったようだ
俺は烏野のベンチへと向かった
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