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side 山口忠
医者からもらったメニューをこなした綾斗さんはみんなに混じってサーブの練習を始めた
俺はコートの端により綾斗さんのサーブを観察する
俺より身長が低く華奢に見える肉体から繰り出されるジャンプサーブは俺のサーブなんかよりずっとすごい
かっこいいなぁ
「うわぁ田所じゃん。才能の塊って感じ」
「俺らがどうあがいてもあぁはなれないわな」
生川と森然の人が綾斗さんを見ながらつぶやいた
まるで綾斗さんが才能だけでここまできたようないい振りに腹が立ち両手でボールを握り締める
俺は綾斗さんがバレー部にきてからの3ヶ月しか見ていないけど、どれだけ努力しているのか知っている
始めはゆっくり歩くことしかしなかった綾斗さんがサーブができるようになるまで、どれだけ努力していたのか知らないくせに
なにも知らないくせに
勝手なことばっかり
「大丈夫だよ山口」
「澤村先輩」
気づけば澤村先輩が俺の隣に立ち綾斗さんを見ていた
「綾斗はあんな事言われても気にしないさ。だから俺らも俺らのやることやるべ」
「はい」
side 澤村大地
山口にはあんな事いったけど、山口の顔をみなきゃ俺が殴りかかる所だった
危ない…。
綾斗は人一倍努力家だ
それは俺たち烏野が一番よくわかってる
みんなが練習している片隅でトレーニングをする綾斗を横目で見たとき、正直俺が同じ立場だったら音をあげると思った
こんなきつい事までしてバレーボールなんてやりたくないと
「大地。いいのか綾斗の事」
山口を押さえて帰ってくると少し心配そうにスガが俺に声をかけてきた
「俺たちが口なんか出したら綾斗に怒られるだろ」
「でも大地さん。さっき手が出そうになってましたよね」
「うるさいよ田中」
くそ田中のくせにそう言うことだけは目ざとい
「ま、俺もノヤっさんも出て行きそうになりましたけど」
壁を使ってトス練習をしていた西谷の方を見ると親指を立ててきた
ホント烏野は、綾斗のことになると頭に血が上る奴が多すぎるだろ
当の本人を見ればこっちの心配なんて露知らず
もくもくとサーブの練習をしているんだから、たちが悪い
「綾斗ってバレーしてる時だけはちゃんと年下って感じするよなー」
スガの言いたいことはよく分かる
なんていうかおもちゃで遊ぶ子供のようなのだ
「ホント学校にいるときのあの雰囲気よ。なんて言うかこう高嶺の花?みたいな」
「田中ー。それ女子に使う言葉だから。まぁ気持ちは分かるけど」
「でも綾斗って結構クラスで人気なんですよ。話しかけやすいとか丁寧に教えてくれるとかいって。特に女子に」
「でたー、天然タラシ。滅びろー」
田中、スガ、縁下が綾斗を見ながら話している
それに気づき綾斗がこちらを見てきた
「はいはい。練習再開するぞ。・・・綾斗がこっちを睨んでる」
俺は手を叩きみんなに合図を出す
「「「げっ」」」
みんな苦笑いをしたあと何事もなかったようにシンクロ攻撃の練習にもどった
綾斗の事で何かあったら俺たち烏野が黙っていない事はもう少し周知の事実にした方が良さそうだ
効力があるかはまた別の話だが
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