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しばらくして研磨くんが帰ってきた
「はいこれ。効くかわかんないけど」
くれたのは痛み止めとペットボトルに入った水
「ありがとう研磨くん。助かる」
昔強すぎる痛み止めすら効かなくなった俺に効くだろうかと心配になった
飲まないよりはましと俺は痛み止めを飲んだ
「綾斗はどうしてそんなに頑張るの?」
「え?」
研磨くんは目を泳がせながら話す
「クロはバレーが好きだし身長だってあるから。けど綾斗は怪我までしてどうしてそんなに頑張れるの?」
「あー俺。中学の時の最後の大会、誰にも怪我の事言わないで無理して出たんだ。その時、病院の先生にはもうバレーできないよって言われてさ。これでバレーから開放されるーって思った」
痛めた膝を見ていた目線を天井に俺は向けた
「けどうちのリベロがしつこくて、ゴールデンウィークの音駒との練習試合を見て烏野のこいつらとバレーボールしたいって思っちゃたんだよね。どんな形でもいいから関わりあいたいって」
今度は研磨くんをみた
「理由も理屈もわかんないけど、こんな事で壊れる体だから、選手生命は多分本当に無理なんだろうけど、それでも辞められないんだ。呪われてるのかな俺」
「うん。そうだと思う。綾斗呪われてるよ」
「だよなー」
俺と研磨くんは顔を見合わせて笑った
side 黒尾鉄朗
3対3の休憩中
「にしてもすごかったよなー。田所綾斗。勝ったけど」
木兎が両手を腰に当て威張りながら言う
たく、最後綾斗が調子さえ落とさなければおそらく負けてただろうが
「はい。セッターとしては完全に負けました」
「赤葦。あれに勝とうなんておこがましいんじゃねーの」
「どういう意味ですか?黒尾さん」
「そうかー。リエーフは中学の時の綾斗を知らないもんな」
俺が説明しようと口を開く前に赤葦が言った
「田所さん。中学の時、強豪に居た訳じゃないんだよ。正確には都内のベスト16にすら残れないような元強豪。それを1年の中総体の時、優勝まで持っていっているんだ」
「あれは恐ろしかったよなー。すごい選手が入って1勝多く勝つとかそう言うことはあったとしても、それだけで都内ベスト16以下から全国優勝なんてありえない。絶対ない。俺には考えられない」
木兎が今度は腕を組んで目を瞑ってしみじみ言う
「あぁ、それも1年の中総体なんて入学してから正味3ヶ月あるかないか。その間になにをどうしたら優勝できるのか、さっぱりわかんねー」
「でも俺、綾斗さんに全然トス上げてもらえなかった。です」
「それは下手なんだからしょうがないデショ。使わないって言ってたのに出してもらえただけありがたいんじゃない?」
チビちゃんとメガネくんの掛け合いを聞いて俺はなるほどと共に確信した
「あーそれ、多分トラウマだ」
「「「え?」」」
全員で声揃えて言う所か?そこー
「俺もここ最近知ったんだけどさぁ。綾斗U-15の世界大会で、チビちゃんみたいな突拍子もない選手と組んで惨敗してるんだわ。それ以来、そういう選手コートに入れなかったみたいなんだよねー」
「田所さんって多分、木兎さんも苦手ですよね」
「リエーフも無理だろうな」
「あー似てますね」
赤葦と俺の意見にメガネくんが納得した
「さ、練習しようぜーぇ」
木兎が伸びをしながらコートに戻る
「「よっしゃーーっ」」
それに続いてリエーフとチビちゃんが走ってコートに入った
「あぁ言う所だな」
「あぁ言う所ですね」
「ぁぁですね」
俺、赤葦、メガネくんはその背中を見送った後、コートへと向かった
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