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俺は研磨くんと一緒に音駒の合宿部屋に来ていた
バレーの話をしようと言うていで行動を共にしていたからだ
実際は研磨くんがやっているゲームを俺が覗いているだけだが
「綾斗いいの?本当に」
「なにがー?」
これ以上怪我や俺の心情を詮索されたくなくてつい強い口調になってしまった
「別に」
それに気がついた研磨くんはそういいゲームに集中するフリをする
居たたまれなくなって俺は立ち上がった
「俺、戻るわ。ありがとうね研磨くん」
「あ、うん」
ちらりと俺の顔を伺う様に目線を上げた
「もう、迷惑かけないから安心して」
そう言って俺は教室を出た
小さくため息をつく
どうしてこうも上手くいかないんだろうな
バレーボールの神様がいるのなら、本当は俺にバレーさせたくないのかもしれない
なーんて、くだらない。センチメンタルですか
ゆっくり歩いて烏野の部屋に戻る
自分の布団でごろごろしていると携帯が鳴った
見れば及川徹の文字
しかも通話
・・・面倒くさい
これを無視したところでこの人のしつこさを考えてたら意味ないか
「もしもーし」
『あ、あーやん!及川さんだよー』
「知ってますよー。どうしたんですか」
『どうもこうもないよっ!なんで俺のメッセージだけ無視するのさ!及川さん泣いちゃうよ~』
ホントこの人も面倒くさい
「泣くくらいで丁度いいかと思いまして」
『ひどいよぉ~あーやん』
「で、本当に用事ないんですか?ないなら切りますよ」
『用事といえば、あーやんの声を聞き』
取り合えず1回通話を切った
どうせすぐかかってくるし、及川さんもわかって言っているだろうし
携帯が鳴ったので俺はまた出た
『あーやん!何で切るのさ!』
「特に用事がないようだったので」
『ねぇあーやん。何かあった?』
さっきとは打って変わって真剣な声を出す及川さんにどきりとする
どこで墓穴を掘ったのか。思考を巡らす
思い当たる節はない
なら、当てずっぽうの可能性の方が高い
「何言ってるんですか。普通に楽しく合宿してますよ」
『綾斗さ、またバレーできなくなったの?』
何でこの人は。
くだらない事ばかり送ってくるメッセージは無視しているし
通話だってそんなに大してしているわけでもないなのに、なんで
「及川さんは俺に発信機でも付けてるんですか?」
思わず出た言葉に自分でも驚いた
『付けてなくても、あーやんの声一つで俺はあーやんの事なんでもわかるの』
「うわぁーキモ。及川さんキモ」
『ひどいなぁ~あーやんは。辛いんだったら烏野なんて辞めて青城にくればいいのに』
この人はホント俺が行かないというのを分かってるくせに
「行きませんよ。用事ないなら切りますよ」
『冷たいっ。そうやってあーやんは俺に冷たいんだから~』
「こういう性格なんです。スミマセン」
『全然そう思ってないじゃんっ。ま、いいや。じゃ、あーやん。おやすみ』
「及川さん。通話、ありがとうございました。おやすみなさい」
及川さんが何か言う前に俺は通話を切った
あの人に素直にありがとうなんて
ちょっと怪我が悪化してセンシティブになってるだけだ
そう思ったけれど、そう思った自分に笑みが零れた
それを蛍たち第3体育館組4人が廊下で聞いていたなんて知らずに
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