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バレました。5
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起きるともうそこには光はいなかった。
白鳥さんに聞くと、お礼はクッキーを作ってくれと言っていたらしい。
本当にあいつは甘党だな。
…まぁ、心配させたし、お礼しなきゃいけないから
作らないとな。
ぼーとそんな事を考えていると、
足立さんが部屋に入ってきた。
「起きたのか。顔色はさっきより全然良くなってるな。」
そう言って微笑む足立さん。
本当に、この人にも心配させてしまったなと申し訳ない。
俯いていると、そうだっと明るく言って
俺に何かを渡してきた。
それを見て驚いて顔を上げた。
「どうして、これを?」
「あぁ、お前の幼馴染が言ってたんだ。
昔熱出したとき食べてたって。
これが好きだったんだろ?」
自然とボロボロと涙が溢れてくる。
どうしよう…懐かしい。
苦しくなるけど、心が暖かくなって嬉しさの方が大きくなる。
それは、お母さんが作ってくれたリンゴを擦って蜂蜜を入れたものだった。
まさかまた食べる事になるとは思わなかった。
食べたら思い出してしまうから作らなかった。
きっと、苦しくなるだけだと思ったから。
だけど、
俺はスプーンですくって食べる。
リンゴの甘さと蜂蜜の甘さが絡まって心を満たしていく。
ボロボロ涙を流しながらぱくぱく食べてる俺を見て
足立さんはどうしたらいいのかとオロオロしてた。
なんだか可愛くてクスって笑ったら、
驚いていた。
「つい、懐かしくて涙が止まらなくなりました。
俺は大丈夫だから心配しないでください。
…ありがとうございます。美味しかった。」
それはすぐに食べ終わってしまった。
あ、そうだ…
「足立さん、何か食べたいものありますか?
……お礼がしたいので、何か足立さんの好きな物が作りたいんです。」
「…肉じゃがが食べたい。」
「ふふ、肉じゃがですね。」
それからはいろんな話をいっぱいして。
今日はあーだったこーだったとか、
いっぱい笑った。
疲れたのか眠たくなって、それに気づいた足立さんは
俺を寝かせて毛布をかけてくれた。
おやすみっと優しく頭を撫でてくれて
その手の温もりを感じて
目を閉じた。
…明日には治ってますように。
そう願って何度目が分からない暗闇に吸い込まれていった。
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