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12話
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翌朝、ふかふかの布団からなかなか出れずに惰眠をむさぼりつつトマが目覚めると、既に隼人が仕事に出た後だった。
ふと、昨日の痴態を思い出し照れつつ、眠るときの暖かさも思い出し、自然と笑みがこぼれていた。
なんとか布団の誘惑を振り切りリビングに向かう。
「あれ?書置きが置いてある、えっとぉ…」
“トマ君♡
ぐっすり寝ていたのでそのまま起こさないで仕事へ行ってきます。
冷蔵庫にご飯入れておいたのでお腹減ったら食べてね?
隼人“
とことこと歩いて冷蔵庫の中を見てみると、美味しそうなサラダや卵焼き、残り物や新鮮な果物もあった。
至れり尽くせりといった状況に慣れていないトマは、ちょっとした感激で泣きそうにさえなった。
「こんなに幸せでいいのかな…嬉しい…えへへっ…」
実際のところ昨晩の行為があったおかげで、マナが十分に供給されていてお腹が減っている訳ではなかった。
だが、その心遣いが身に染み入りトマはキチンと両手を合わせ「いただきます」をしてから用意してくれたご飯をもぐもぐと食べる。
胸がグッと詰まるような、切ないような温かいような気持ちに戸惑いつつ、少しづつ隼人の優しさに惹かれている事実に気づき始めていた。
ブランチを終え、食器も片づけた後はする事が無くなってしまった。
だが、せめても何か恩返しを…と、部屋の掃除や洗濯などを軽く行い、一息つく頃にはおやつ時であった。
上司への報告等もしなければ行けないが、鍵もかけずに出かけるわけにもいかない。
うんうん唸りつつ悩んでいたが、気づくとトマは眠りについていた。
隼人がやっと仕事を終え、時計を見ると19時頃になっていた。
トマには鍵などを渡していない為、待っているであろう事を考え早めに切り上げようと、その日もバリバリと仕事を終わらせた。
「お先に失礼します。」
「あ、名取さん!お疲れ様です!」
「お、隼人君、今日は本当にありがとう!この後飲みにでも…」
「ごめん!ちょっと急いでるんだ…!また今度ね!」
事務の綺麗な子たちの誘いも、本日もいつもの如くさらりと躱し、急いで帰路につく。
隼人は昨日トマに出会って、初めて一目惚れというものを知った気がした。
なぜ、あんなにもトマは自分に自信がないのだろうと思うと、どこまでも甘やかして守ってあげたいという気持ちがはやる。
それでも、健気に自分のような人間を慕ってくれるトマに対して、また、虐めたいという思いも同時にあるのだ。
「困ったな…。どうしたもんかなぁ。」
隼人は、トマを大事にしたい気持ちと、虐めてあの可愛らしい顔で泣いてほしいという歪んだ欲望に挟まれて頭を悩ませていた。
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