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前髪の隙間から前に立つ人顔を見る。
くらい茶色の髪はほんの少し癖っ毛で優しいカーブがある。
整った顔は笑顔を浮かべていて…そう、物語の中の王子様によくにいてる。
白いシャツに黒いネクタイ、それからジャケットまで着て正装だ。
手には白いビニール袋。
中身まではよくわからないけどかなり重そうだ。
身長は…180近いのかな。かなり高い。
足先まで見終わってもう一度顔を見るとジッと目を見つめ返される。
「助手でもいいですよ、マネージャーって響きもなかなか…」
「頼んでないと思うんだけど…」
「頼まれてませんね。でも、貴方を支えに来たんです。」
そう言うと手に持っていたビニール袋を床においてしゃがみ、俺と目線を合わされる。
綺麗な目。
日本人の中でも茶色に近い明るい目。
秋の初めに出来るドングリみたい。
「…ごめんね、昔からアシスタントさんはお願いしてなくて。」
「はい、でも来ました。」
「うん…?」
「藍川さんの身の回りのお世話全部やらして下さい。貴方がまた本をかけるまで全力でサポートさせてもらいます。」
「えっと、だからアシスタントは…」
アシスタントは頼んでないよ、と何回言っても言葉を受け取ってくれない。
…困ったな。
どうしようか、と考えていると目の前に名刺を差し出される。
仕方なく受け取って名刺へ目を通す。
「…小波、光くん。」
「はい!memory社から来ました、小波光です。」
「綺麗な名前だね。」
「ありがとうございます。」
「ごめんね、俺名刺持ってなくて。…藍川です。何度も言うけどアシスタントさんはお願いしてないんだ。それどころか今はお話上手く書けなくて。」
「…藍川さんが書けるようになるまで傍にいるのが俺の仕事です。だから、一生書けなかったら一生いなきゃいけなくて…」
「ぅ"、……なるほど。俺は脅されてるわけだ。」
ある日を境に全く話を書けなくなった。
つまり、それをなんとかするために偉い人が考えた策がこの"強制アシスタント"。
そんな事に巻き込まれて来てくれた小波君を無理やり追い返すわけにもいかなくて。
「なんでもやります。ココにおいてくれますか?」
「うん、…よろしくお願いしようかな。」
そして
俺たち2人のチグハグな関係が始まった。
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