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「まずは…」
なんて言って小波君が部屋を見渡す。
ここ5年、一人暮らしを続けた部屋。
人が入ったことなんて数えるくらいしかない。
それに俺は自慢じゃないけどあんまり片付けは得意なほうじゃない。
「…片付けます。」
「えぇ、悪いよ…」
「でもこれ足場ないですよ。…というか、この環境じゃ書ける物も書けないんじゃ…」
「んん、耳が痛いです…」
小浪くんが持っていた鞄を端へ置いてジャケットを脱ぎシャツの袖をまくる。
…綺麗な体だなぁ。
ぼーっと見上げていると、俺の視線に気付いた小波くんが手をこっちへ伸ばす。
「藍川さん、どうしてこんな端っこにいたんですか?」
「…え?」
「広い部屋なのに。端っこにいちゃ勿体ないです。…ほら、立てますか?」
「ありがと。ごめんね、目が痛かったんだ。」
「目?」
「うん、もう大丈夫だよ。」
ありがたく小波くんの手を借りて立ち上がる。
俺より少し背の高い小波くん。
優しい笑顔で「よかったです」と言うと手を離し周りを周りを見わたしては早速掃除に取り掛かってしまう。
うん、…優しい子だな。
「ねぇ小波くん。僕はどうしよっか。」
「掃除は俺がするんで寝ててください。寝不足酷そうなんで。」
「…よくわかったね。」
「目の下真っ黒で顔は真っ白ですよ、ご飯は食べてますか?」
「即席物なら…」
「…はい、俺がやりますね。とりあえず今は寝てください。」
小浪くんがそう言って呆れた顔で笑う。
家事は得意じゃないんだよなぁ。
こんな出合ったばかりの子に何かを任せてしまうのは本当に申し訳ない。
…ううん、怪しい人じゃなさそうだから大丈夫だと思うけど。
怪しい人…?
「そうだ、小波くんどうやって入ったの?鍵ちゃんとしてたはずなのに…」
「上司に合鍵もらったんです。藍川さんよく家で倒れるから預けてるんですよね?」
「…はい、そうでした。」
「掃除終わったら起こしに行きますねー、早く寝てください。」
「そんなに背中叩かなくてもちゃんと寝るよ。ありがと、小波くん。」
一度頭を下げて寝室へ向かう。
これからお世話になります。
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