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小波くんが家を出て行ったのを見送り、ドアに鍵をかける。
今日は濃い1日だったな。
ずるずると体を引きずるようにリビングまで戻り、久しぶりにちゃんと生地の見えたソファへダイブする。
今まで服掛けにしててごめんね。
「ん、…」
緊張が解けると頭が痛くなってくる。
ソファの上で体を丸くして目を閉じると、まだどこかで小波くんの匂いがしてきた。
あれは香水の匂いかな。
ほんの少しだけ甘い香りがしたんだ。
久しぶりにああやって人と話した。
ずっと世界から閉じこもってこんな小さな部屋に閉じこもってきたんだ。
…今も、自分から出る事は出来ないけれど。
重い瞼を開いて目の前の窓を見つめた。
オレンジの夕日が部屋の中に勝手に上がり込んでくる。
ここ最近、夕日と朝日が酷く苦手になった。
「…綺麗だなぁ。」
もう少し傍にいこうと床を這うようにして窓のそばまでいく。
床に座り込んだまま見上げると、少しずつこっちへ近づいてくる気がした。
飲まれる
殺される
目を合わせたまま動けない。
大きな 大きな夕日がじわじわと迫ってくる。
「藍川さん、しっかりしてください…!!」
「へ……?」
堕ちかけた世界から無理やり引きずり戻された。
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