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戸締りをした後、表に止めてある車を覗き込む。
最近乗ってなかったからお久しぶりだ。
扉を開け中を一応確認しておいたけど特に見られちゃまずいものは置いてないみたい。
一応シートをパンパンと払ってから小波くんへ目を向ける。
「どうぞ。」
「これ、…結構いい車じゃ、…」
「そうなの?うーん、乗せられるままに契約しちゃったから覚えてないんだ。それに車って詳しくなくて。」
「え"。いや、多分やばいですよこれ。…本革じゃないですか。」
「本革?これが?…前お茶こぼしちゃったんだけど大丈夫かな。」
「大丈夫じゃないですね。」
小波君がツンツンとシートつついた後、心を決めたように乗り込む。
あんまり車は使わないし運転もしないからなんでも良かったんだけど。
お店の人にはきっといい金づるだと思われてるんだろうな。
同じように隣に乗り込んでシートベルトを締めると運転手は熱心に手を拭いてからそっとハンドルを握った。
「それじゃ、…行きますよ。」
「安全運転でお願いします。」
「…はい。事故ったら弁償ですもんね。」
「あはは。倍返しでお願いしよっかなぁ。」
「勘弁してください…」
なんて冗談を言いながら走り出す。
この車に特に思い入れはないけれど、この車高の低さは好きだ。
後は特に他の車と違いがわからない。
極端な話、別に軽トラでも構わないわけで。
「この車普段は使わないんですか?」
「うーん…テレビに出てた時はコレで行ってたかな。偉い人に交通機関は使わないようにって怒られて。」
「へぇ…有名人ですもんね。」
「そんなことないよ。俺はテレビに出る専門の人じゃないから。小波くんは俺がテレビに出てたの見てた?」
「そりゃもう。全部録画してありますよ。特に朝番組のが好きでした。三回に一回くらい寝てませんでした?」
「あはは、よく偉い人に怒られてたよ。」
そんな少し前の話をしながら走っていく。
小波くんはよっぽど俺のことに詳しいらしい。
もしかすると俺自身より俺に詳しいのかもしれない、なんて思うと楽しくて笑ってしまう。
この子と話すのは本当に楽しい。
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