アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
14
-
車を車庫に止めたまま動けない。
このまま隣を向いたとして、藍川さんがどんな顔で座ってるのかすら想像出来ない。
第一、藍川さんがすごく綺麗な顔をしていて色っぽかったからと言ってキスをしたこと自体が意味がわからない。
俺がわかっていないんだから藍川さんはもっとわかってないだろう。
怒られる。失望される。嫌われる。
それ以上にもうこの仕事だって出来ないかもしれない。
「…小波くん?」
そうしたら、もう話すことも直接顔を見ることさえ…
「小波くん、家だよ。」
「え、っ…ぁ…、!?」
「一回帰って休憩しようよ。スーパーは後でも大丈夫だから。」
まるで何事も無かったかのようにそう言うとへにゃりと笑った。
…わざと、何も無かったフリをしてる?
それはそれでこっちが申し訳ない。
男として一度きちんと謝った方がいい。
「あの、っ…さっきは、その…すみません。」
「あはは。気にしなくていいよ、ほら。中に入ろう。」
大丈夫、と言って俺の髪を撫でると先に車を降りて玄関へ向かってしまう。
本当に気にしていないのか。
それともこれが大人の余裕なのか。
わからないまま呆然と車の中から藍川さんの姿を見つめていた。
"早く"
と窓越しに藍川さんの口が動く。
「はい、っ…」
慌てて藍川さんの後を追って家へ向かう。
あぁ、この人には適わない。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
29 / 208