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目の前が薄暗くなっていく。
最近、ずっと襲われているこの感覚。
自分に都合の悪いものを見ると頭が痛くなって目や耳が素直に動いてくれなくなる。
だんだん視界が霞んで小波くんが見えなくなる。
あぁ、また一人ぼっちになりそう。
「…全員を好きでいなくたっていいんです。」
「え、?」
小さく聞こえる小波くんの声。
耳を澄まして。
君の声を頼りに手を伸ばす。
大きな手が俺の手を握った。
「貴方が楽でいられる道を、…選んでください。」
俺が楽でいられる道?
目が痛い 耳が痛い
ただ 君に触れている手だけは痛くないよ
ねぇ 小波くん
俺 1人じゃもう 壊れてしまいそうなんだ
「…もう少し、傍にいてくれないかな。」
「俺はここにいます。」
「本当?」
ずっと 1人きりで飲み込んできた
ちっぽけな苦しみが
俺を殺そうとしていた
「本当に。貴方の傍にいます。」
「…ありがとう。」
暖かい手を握ったまま目から冷たい水が零れた。
不思議だね。
ずっと こんな事は無かったのに。
どうしてだろう。
君といると すごく安心するんだ。
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