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『おい、小波。』
その声にハッとする。
…知りたい、藍川さんのことを。
きっと知ったっていいことは無いのだろうけど。
「あの…!藍川さんのこと、…教えてくれませんか?」
『深入りするなってさっき言ったばかりだろ。藍川だけはやめておけ。…なんで入社したてのお前があの"天才作家"の担当につけたかわかるか?』
「それは…俺が、藍川さんのファンだからじゃ…?」
『んなわけあるか。誰もやりたがらないからだ。アイツは見た目も振る舞いもいい、人当たりだっていい。だが過去と中身はボロボロだ。知ってるやつは社内にも数人しかいないが、汚れ仕事に変わりはない。いいか、もう一度だけ言っておく。
深入りするな。仕事上だけの付き合いに留めろ。』
「どうしてそんなに、…」
『俺にもお前にも…いいや、世界の誰にだってアイツは救えっこないんだ。わかったな?…それじゃあな。』
上司はそう言うと、俺の返事を聞く前に電話を切ってしまった。
藍川さんに一体何があるんだ…?
過去と中身はボロボロ?
それだけ辛い何かがあって、傷ついているってことじゃないのか。
藍川さんは、何かに脅かされている。
それなら俺は守りたい。
…それだけじゃ、駄目なのだろうか。
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