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一日経って、二日経った。
あと一日経てばあの子が来ると一人ソファの上で膝を抱えて待っていた。
こんなことをしていると小さい頃のことを思い出してしまう。
目を閉じて、ただ時計の音を聞いて。
きみを待っていた。
朝になっても、昼になってもあの子は来なかった。
どれだけ待っていても誰も起こしに来てはくれない。
ソファの上で目を閉じることも出来ずにただ横たわることしか出来なかった。
「…はぁ。」
それから二日経っても、三日経ってもあの子は来なかった。
俺が本を書けなくなってしまったから切り捨てられたのかもしれない。
それとも、あんな事があったからもう会ってくれないのかもしれない。
それならまた本を書けば。
それならあれは嘘だと説得すれば。
もう一度だけ、会ってくれるかもしれない。
「小波くん、…きみは酷いなぁ。」
もう人に期待なんてしてやるかと決めていたのに。
俺はもう、あの子がいないときっと眠れないから。
また日が過ぎて。
あの子と別れて七回目の太陽が登った頃。
もうダメだと思った。
立ち上がり、壁伝いに部屋を歩いていく。
グラグラと視界が回るせいで前もよくわからない。
ただまた、本を書けば。
あの子はきっと俺に気を向けてくれるだろうから。
そしたらまた話せるだろうから。
そう思ったのに。
弱りきった体はたった数歩も歩かないうちに膝から崩れ落ちて床へ叩きつけられた。
もう、何も出来ない。
どこかで声が聞こえた。
誰の声かもよくわからない。
あぁ、でも。
微かに見える視界にはあの子によく似た誰かがいた。
それなら 俺はきみに まず何を言うべきだろう。
「おはよう、小波くん。」
そう喉が発すると、体中の力が吸い取られるように消えてしまった。
温かい誰かの腕のなか夢の中へ落ちていく。
あぁ、ようやく眠れるね。
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