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小波くんは暫くキョトンとしたあと、何故か顔を赤くして何度も頷いた。
ここにいてくれるってことなのかな。
嬉しくて少し笑顔になる。
一人でいなくていいのはすごく嬉しいことだ。
「小波くん…?」
「い、…いえ。でも俺、何も泊まれるような物持ってきていなくて…」
「それもそうだね。…あ、着替えなら前に通販でサイズを間違えて買ったのがあるよ。パンツなら開けてないものがあるし。」
「でも、そんな…」
「俺の我儘だからいいの。それより、もう少し眠ってもいいかな。…きみが来るまであまり眠れてなくて。」
アタフタとする小波くんへそう言うと、落ち着いた様子で「そうなんですか」と言った。
俺がどういう訳か最近眠れていないこと、この子はまだ知らないからだ。
せめてそれくらいは言っておいた方がいいかもしれない。
ベッドへ体を預けたまま片手を布団から出しヒラヒラと動かす。
「手、握ってくれる?」
「ぇ…あ、はい…っ」
「一人でいるとね、目を閉じた時怖いことを思い出すんだ。批判の声やそういった類と、それからずっと昔のこと。…それでうまく眠れないんだ。」
「そう、でしたか…」
「でも小波くんがいてくれたら眠れるんだ。不思議だね。…だからきみがいないと困るんだ。満足に生きていけないよ。」
「そんな、大袈裟な…俺、なんて…」
眠気に瞼が落ちていく。
意識を手放す瞬間まで小波くんの声は聞こえていたけれど、もう何を言っていたかはわからなかった。
強烈な眠気の波に襲われ、気を失うようにして深い眠りに落ちた。
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