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欲情
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部屋の掃除をしていると、机の上や下に未開封の茶色い封筒がいくつもあることに気付いた。
中にはなにか本が入っているらしい。
「…これ、玄関にもあったやつか。」
でも封筒には何も書いていない。
これは捨てない方が良さそうだ。
いくつかある封筒をまとめて部屋の端へ置く。
台所へ入ると使った形跡のある箸とコップが流しに置きっぱなしになっていた。
何かを食べて飲んだことが確認できただけでとりあえず一安心だ。
この1週間本当に飲まず食わずだったらどうしようかと思っていた。
一通り掃除を終え、ソファに座り藍川さんが上がってくるのを待っていた。
…なんだか緊張する。
暫くしてから遠くで音がすると足音が近づき、廊下の扉が開いた。
恐る恐る振り返るとタオルを頭にかぶったままの藍川さんが立っていた。
「おまたせ。小波くんも入っておいで。」
湯上りで赤くなった頬、濡れた髪と滴る水。
どこか潤んだ目やいつもより少し緩い格好。
誰だってこれを見れば少しは欲情してしまうはず。
「小波くん?」
「…は、ぇっ、…」
「お風呂空いたよ。」
「あ、はい…っ、入ってきます…!!」
「うん…?待ってます。」
不思議そうに言ってはクスクスと笑う藍川さん。
…あぁ、駄目だ。
何故かこの人を前にするといつも通りでいられなくなる。
心の中ではきちんとわかっている。
俺はこの人を好きなってはいけないし、手を出してはいけないことも。
それなのに触れたくて抱きしめたくて仕方ない。
野蛮なやつだな、と少し自分を蔑んだ。
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