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手に持っていた週刊誌を床へ置き、藍川さんの元まで向かう。
顔を隠して俯いたままの藍川さんからは何も感情が読み取れない。
「…聞いたら、駄目ですか?」
「聞いたって楽しくないことだよ。」
「聞かれたくないこと、ですか?」
「そうじゃないけど…言ったって無くなるわけじゃないから。それにきみには迷惑も心配もかけたくないんだ。」
「よく知らないままの方が…心配です。」
「それは、…困ったな。」
藍川さんの手が顔から離れ悲しそうな顔で俺を見る。
この人が抱えてきた苦しみ少しでも無くしたい。
出来ることなら共有して抱え込んでいるものを取り上げてしまいたい。
でも、そんなこと俺にはきっとできない。
それでもせめて今目の前に起きている事くらいは知りたいんだ。
「…座ろうか。小波くん、きみは何が知りたい?コレについて。知りたいことは話すよ。それで心配をかけなくて済むなら。」
「いつから、どうして…誰に、いつ…どんな経緯で、…いや。藍川さんだって全部はわかりませんよね。」
「うーん…そうだね。でも少しだけなら俺にだってわかるよ。とりあえずいつから、だね。」
無理やりいつもの調子のフリをする藍川さんは首をかしげてはにっこりと笑った。
今からきっと深刻な話をするはずなのに。
そして片手で数字を数えると首を傾げて笑った。
「ええと、日にちは覚えてないけど…初めて週刊誌に取り上げられた日からだね。」
そう笑って告げた言葉は
"もう2年以上も嫌がらせを受けている"
という事をサラリと告白してしまった。
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