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「誰に、はわからないかな。どんな経緯…も。…あぁ、でもきっと嫌われてるんじゃないかな。俺は人に好かれやすい人間ではないと思うから。
」
ふふ、と優しく笑うと首を傾げた。
自分で自分のことを「嫌われている」と言って気分のいい人なんていない。
自分のことを傷つけながら笑っている。
どれだけ辛くて苦しい思いをしてるのか俺にはわからないくらいに。
「…すみません、言いたくなかったですよね。」
「あはは。いいよいいよ。もう、知られちゃったから。」
藍川さんは週刊誌を手に取るとパラパラと中をめくった。
芸能人の不倫や熱愛ニュース、某企業の話題。
それから1面に"藍川"の文字。
指先でそれをなぞりながらその人は優しく微笑んだ。
「毎日、何かが運ばれてくる。それはポストにあったりドアノブにかかっていたり…ポストがいっぱいになるとドアについてるポストから直接玄関に入れられるんだ。」
「…じゃあ落ちてたのは直接ってことですか。」
「そうだね。運ばれてくるのは週刊誌だけじゃない。だから、あまりむやみに触るのはオススメできない…かな。」
「週刊誌以外にどんな物が…?」
「……そう、だね。」
藍川さんが週刊誌から手を離すと片手を口元へ当て悩み込むように目を伏せた。
言い難いなにかなんだろう。
俺はただ何も言わずにその横顔を見つめる。
しばらくすると、フゥと息を吐きつまり気味にも小さな声が聞こえる。
「カッターの刃、とか…あと虫とか小動物の死体……とか。」
「嫌がらせじゃすまないんじゃソレ、…っ」
「あと、……っ…」
一際、間を置いたかと思うと困ったような戸惑ったような声で
「…使用済みの、…コンドーム…とか。」
と言い、目を伏せては口を結んだ。
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