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いつも、俺の家に封筒が届くのは夜の七時頃。
そう小波くんへ告げると
『それなら六時半から外で待ってます。』
と言い、ついさっき外へ出ていってしまった。
もう外は寒いから体を壊さないか不安だ。
玄関にポツリと座り扉を見つめる。
少し向こうに小波くんがいるのに、遠くて姿も見えない。
もし彼を傷つけてしまった。
その何かが彼を襲ったら。
俺はどう責任を取ればいいのだろう。
「…小波くん。」
聞こえないとわかっているのに、そう扉の向こうへ呼びかけた。
シンと静まり返った家の中で声はポツリと床へ落ちてしまう。
どうして彼はああも俺に尽くしてくれるんだろう。
"好き"というだけで俺にあそこまで優しくできる理由がわからない。
…俺は何もあの子にしていないのに。
思えば出会ってまだそう日は浅くないはずだ。
俺の方こそどうしてここまで彼に自分を見せているのかわからない。
いつも通り、ただ なんとなく。
誰か という事だけを覚えていればよかったのに。
『藍川さん、貴方が好きです。』
身勝手で俺の意見なんて聞いてくれない。
それなのに彼はほかの人とはどこか違う気がした。
だから、きっと。
あの子は信じてよ大丈夫な子なんだ。
冷たい足を抱えて目を閉じた。
どうか 何も起きませんように。
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