アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
7
-
玄関の外、小さな庭の茂みの影にしゃがみこんで向こうを警戒する。
威勢よく「捕まえます」だとか「俺がなんとかします」だとか言って出てきたのはいいもののどうすればいいのか良い案はない。
変に怒りを買えば余計に刺激するだろうし、下手すれば危険に晒す可能性もある。
俺の骨が多少折れるくらいならいいが藍川さんを傷つける訳にはいかない。
しばらくそのまま前を見つめていた。
少し悩んだ結果、作戦はこうだ。
誰かが来た時点でとりあえず行動を見守る。
決定的な瞬間を携帯で動画を撮り、その後それを根拠に問い詰める。
その時点で反省して帰るようなら今回は見逃していいだろう。
もし、過剰に反応してきたらその時はその時だ。
「…無事終われよ。」
小さく呟いてすぐ、向こうの方から足音が聞こえてきた。
もうあたりは暗くてよく見えない。
携帯を構え無音カメラで動画を撮る。
見えた姿は俺より背の少し高いくらいの男で手にはなにか小さな袋を持っている。
男は玄関の前まで来るとドアへ耳を当てじっと止まった。
中の音を聞いている…?
しばらくそうしていると、持っていた袋をドアノブへかけクルリと後ろを向いては立ち去ろうとする。
逃がすか、と動画を止めポケットへ携帯を直し男の進行方向へ勢いよく飛び出す。
「…おい。」
「誰だ?」
「誰だ、はこっちのセリフだ。…それ。今、何をかけた…?」
「アレの男か?…あぁそうか。…へぇ。」
男はブツブツと何かを言い出してはクク、と喉で笑う。
どこか気味が悪い。
…タチの悪いストーカーか。
「今、お前がしたこと。録画していた。」
「脅しか?」
「お、…っ脅しだ。」
「今、目の前で消せ。」
「は…?いや、…お前が、もうココに来ないって言うなら…消す。」
「なるほどな。」
男はククク、とまた気味悪く笑うと俺へ距離を詰めて見下ろしてくる。
…なんだこいつ。
何か、おかしい。
「ぅ"、っ……!」
そう思うより前に腹へ激痛が走る。
今、この男に殴られたのだと気付くのにそう時間はかからなかった。
俺は目を見開いたままその男を見上げ動くことが出来なかった。
「死にたくなかったら、無駄な事はするな。」
ただ痛みに襲われながら、首を横に振ることしかできない。
あぁ 格好悪い。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
75 / 208