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ガタン、と外から音が聞こえてきた。
何か向こうで話をしているけれど一枚扉を挟んでいるせいでよく聞こえない。
思わず立ち上がりドアノブへ手をかけるけれど外の状況もわからないまま出ても迷惑になるだけかもしれない。
…小波くんに、何かあったらどうしよう。
そっとドアへ耳を近づける。
何か、言い争いをしてるらしいけれど内容までわからない。
ふと上を見上げると目線の先に覗き穴があった。
この家に住み始めてから一度も使ってなくてごめんね、覗き穴さん。
初めてそれを覗くと向こうには小波くんより大柄な誰かが立っていた。
「……どこかで、見たことある。」
誰だったか。
しばらく見ていると男が小波くんへ近づき、その後小波くんの体がガクリと揺れた。
二人の距離は変わらないまま小波くんは首を左右に振っては何も言わなくなった。
…まさか。
殴られたのかもしれない。
そう思った瞬間に、"危険だ"と思うより先に俺は扉を開けていた。
彼を 傷付けたくない。
「小波くん、…っ」
扉を開き目の前を見る。
小波くんの驚いた顔が俺へ向けられる。
そして、どこかで出会ったことのあるはずの誰かが。
いや、俺がきっと会いたくなかったその人が。
「久しぶりだなぁ。」
「先生、…っ…」
気持ち悪いくらいの笑顔で俺を迎えた。
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